わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・哲学・思想の読書日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

小説

お気に入りの一枚

五時十五分、いつの間にか葵が来ていたが、うとうととまどろむうちに、どこかへ消えた。五時四十五分、きちんと起床。 仕事。某案件の企画書、別の案件の企画書、某案件の構成とコピー。 近所のベーカリー「そーせーじ」のパンで昼食。ここのパンは生地がう…

古川日出男「おおきな森」(3)

「群像」2018年3月号掲載。安吾を主人公にした二つ目の物語から派生するように、三本目の物語として現代を生きる小説家が登場。全体像がまったく見えてこない。 群像 2018年 03 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/02/07 メディア: 雑誌 この…

佐伯一麦「山海記」(15)

「群像」2018年2月号掲載。 土地に残る戦いの歴史に、水害の記憶が覆い被さる。その歴史や記憶は、感情や思想にバイアスをかけられることなく、淡々と語られていく…。 群像 2018年 02 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/01/06 メディア: 雑…

松浦寿輝「人外」(4)

「群像」2018年2月号掲載。 海辺の砂浜で、酒に酔った女性タクシー運転手と語り合う人外。彼女の深い悲しみ、そして何かが狂い、破綻している世界、その微かな連動性。人外は世界の内側にいながらも、外側にいるかのような視点で世界を観察し、旅をつづける…

頭が下がる

五時四十五分起床。マンションの前を軽く雪かきしておいた。幅1mくらいだけだが、多少マシだろう。新聞配達員の方が、徒歩で新聞を届けていた。頭が下がる。 仕事。急に忙しくなってきた。うれしい限りだ。 夕方、TFCCの治療のために接骨院へ。施術直後は痛…

古井由吉「野の末」

「群像」2018年2月号掲載。 秋から年末にかけての季節の移り変わりの中で、老作家はおなじく老いた人たちに、そして自分と同時代を生きる人たちに感心を向け、筆を想いのままに進めていく。戦中に記憶を失った孤児たちの老年、家族も思い出も失い孤独な状態…

古川日出男「おおきな森」(1)

「群像」2018年1月号掲載。ボルヘスだのマルケスだののパチモンが出てきたと思ったら、安吾と小林秀雄だよ。高橋源一郎の『ジョン・レノン対火星人』や『日本文学盛衰史』を思い出した。 群像 2018年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/1…

金井美恵子『カストロの尻』

「カストロの尻 --Miscellany」。節目をセツメ。魂を塊と間違えているのかと思ったら、ホントに塊だった。 カストロの尻 作者: 金井美恵子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/05/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (9件) を見る amzn.to

金井美恵子『カストロの尻』

「「孤独の讃歌」あるいは、カストロの尻」。金粉ショーダンサー、会社のカネ使い込みおっさん、そして漢字の読み間違え。渦中→うずちゅう、案の定→あんのてい、芽ねぎ→いもねぎ。そしてスタンダールの『カストロの尼』→「かすとろのしり」。 カストロの尻 …

及び腰

新猫・葵の鳴き声で夜中に何度か目が覚めたが、どうやら大人の男の人とはほとんど接していなかったらしく、ぼくの姿を見ると萎縮し隠れてしまうので、気になったからといって様子を見ても逆効果になるのを恐れ、こちらまで萎縮し及び腰になってしまう。子猫…

金井美恵子『カストロの尻』

「廃墟の旋律」。ここにも「胡同の素馨」が登場。連作小説の魅力は多面性だと思うのだが、それを最大限に生かすための要素になっていると思う。あ、つながった、というおもしろさ。 カストロの尻 作者: 金井美恵子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/05/…

様子を見る

五時四十五分起床。今朝も身支度が緩慢だ。しかし寒いわけではない。 午前中は仕事。年末調整と賞与支払届の書類作成。まだ少し早いのだが、十二月は忙しそうなので先に手を動かした。 妻は個展会場へ。ぼくは新宿で網膜裂孔対策のUVサングラス探し。やはり…

D判定の日

五時四十五分起床。幾分緩んだ寒さにつられて、自分の気合いのほうも緩みはじめている。だが平日とおなじ時間に起きた。もっとも、身支度のペースは緩みの影響が強いようで、何かともたつく。 冬晴れというには少々早い気もするが、晴天。 午前中は掃除やら…

磯崎憲一郎×中島岳志「「与格」がもたらした小説」

「群像」2017年12月号掲載。小説とは個人の主張によって書くものではなく、小説によって書かされるものであり、作者は小説に仕える立場の者だ、といった趣旨。読解し固定的な読み方を強制する現代の国語教育への警鐘が、実はひな壇芸人の役割分担のような社…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(8)

「群像」2017年12月号掲載。冷凍入れ歯。市場のお祭りに巣食うオトナの事情的なアレコレ。キリンみたいな体型の男性事務員の大道芸。形見の文庫本に付着していたなぞの赤いシミ。綿菓子。小ネタばかりで地味なのだが、グングンと作品世界に引き込まれていく…

心の中でニヤニヤ

五時三十分、パンパンになった膀胱のおかげで自然に目が覚める。「パンパンになった膀胱」という表現は、金井美恵子の作品に出てくるものだ。まったく同じではないと思うが。でも、ちょっと気に入っている。トイレを我慢するたびに、心の中でニヤニヤしなが…

金井美恵子『カストロの尻』

「胡同の素馨」。男の手元に残る古い書籍。物語のようだが、内容は限りなくシェイクスピアに近い。読み進めるほど、映画や芝居の世界に、活字を通じて深く埋没していくような感覚に襲われる。 カストロの尻 作者: 金井美恵子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日…

金井美恵子『カストロの尻』

「胡同の素馨」。ふーとんのじゃすみん、と読む。 海辺の町で血縁関係はないおばあさんの家で夏休みを過ごしていた「私」と、同じく血縁はないらしいお姉さんである菊子の二人の思い出話のなかに登場したモチーフが、ちょっと設定をアレンジした感じで登場。…

金井美恵子『カストロの尻』

「シテール島への、」。一つ前の作品の世界観はうっすらとつづいているようなのだが、語り手の「私」は大人になったようで、最後のほうまで読むと、どうやらまったく別の人物であることがわかる。人工池の島を、映画のシーンなどを思い浮かべながらぼんやり…

金井美恵子『カストロの尻』

「群像」最新号に一通り目を通したので、こちらを再開。 「呼び声、もしくはサンザシ」。ミクロで多焦点な描写で、昭和30年代だろうか、少女の田舎での夏休みの様子が淡々と描かれる。田舎という違う環境にも忍び寄る退屈さ、そしてちょっぴり背伸びしたい感…

佐伯一麦「山海記」(14)

「群像」2017年11月号掲載。この連載は史実の説明が大半になってしまうことが浩のだけれど、旧友とレコードを聴きまくった思い出だの、今回のように雪の中で十津川の吊り橋を渡る話だの、史実から離れたエピソードのほうがぐっと惹かれる。作家の冷静な視線…

石田千「母とユニクロ」

「群像」2017年11月号掲載。東北の実家に帰った「私」が、七十代で洋裁の先生をしている母と、佐々木希の下着姿のCMに触発されてイオンに入っているユニクロまで出かけるのだが、丁寧に語られる母の日常や、時折挟み込まれる「私」の東京での暮らしぶりが、…

松浦寿輝「人外」

「群像」2017年11月号掲載。 難解な描写がひたすらつづくのだが、次第にわかりやすい表現となり、それにともない、語られている主人公が、どうやら人間ではなく、人間だったころの(前世の)記憶と言葉を持ち合わせたなにかであることがわかってくる。ひとま…

松浦寿輝「人外」

「群像」2017年11月号掲載。新連載。 言葉を使い、考えることのできる謎の動物(?)の誕生から成長(?)に関するモノローグが続く。よくわからない。 群像 2017年 11 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/10/07 メディア: 雑誌 この商品を含…

金井美恵子『カストロの尻』

「破船」。語り手である「私」の少女時代の、映画にまつわる記憶。というよりも、近くの映画館のフロアで見たものと実際に見た(らしい)映画の記憶が、丁寧に、しかしなぜか混濁しているような印象のなかで(一つの文がひたすら長い金井節だからこそそうい…

猫がいなくて

五時四十五分起床。肌寒い朝。 たとえ一泊二日でも預かった保護猫たちがいなくなったことで、はやりの表現を使えば猫ロス、という状況になるのかと思ったがまったくそんなことはなく、いつも通りの朝。あの子たちのために購入し組み立てたものの、まだ片付け…

金井美恵子「カストロの尻」

最新作ということになるのかな。連作というか、短編集というか。 一作目の「「この人を見よ」あるいは、ボヴァリー夫人も私だ」を読みはじめる。これ、初出の時に文芸誌で読んでるんだよなあ。後藤明生の『この人を見よ』や、金井の80年代の傑作『文章教室』…

中村太郎「慎ましく世界を破壊すること」

読了。なくした右腕を探す男は絶望して義手を壊し、男に付き添った若者は自殺したかもしれない女とその子どもに会いに行く。厭世的な雰囲気に満ちた作品だったが、最後にかすかな希望が見える。ベタな表現だが、そんなことは関係ない。 群像 2017年 10 月号 …

中村太郎「慎ましく世界を破壊すること」

「群像」2017年10月号掲載。1970年代の東京が舞台。無気力な青年が出会った子連れの売春婦・夏子は彼に自殺を予告。その数日後、若い女と乳児の身元不明の死体が見つかる事件が起きる。彼はその死体が夏子かどうか確かめるために遺体が安置された警察署へ出…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」

「群像」2017年10月号掲載。餅。餅だけで1話。 群像 2017年 10 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/09/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 堀江敏幸の作品はこちら。