わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

海外文学

ルシア・ベルリン/岸本佐知子訳「カルメン」

「群像」2021年6月号掲載。ドラッグ中毒の男とその妻。麻薬の売人、堕胎。不幸のオンパレードだが、それを淡々とつづっている。『掃除婦のための手引き書』とはかなり違った、ダークな世界観。 群像 2021年 06 月号 [雑誌] 発売日: 2021/05/07 メディア: 雑…

ブラシの花があちこちで

ここ数日、アラームが鳴る数分前に目覚めることがつづいている。仕事への緊張感が無意識のうちに目覚めさせているのか、体内時計が妙なことになっているのか、それとも。原因はよくわからない。寝覚めの感覚は決して悪くない。 仕事。某社の会社案内の簡易台…

ミカエル・ゴメズ・グタールト/田中未来訳「(引用)の狩人」

「群像」2020年10月号掲載の小説。作者も訳者も残念ながら知らない。作者はフランス語とスペイン語で文芸評論や短篇小説の創作などの活動をしているらしい。 ひとまずさわりだけ読んだ。その限りでは、引用の狩人というより、立ち読み情報泥棒って感じ。なか…

ポール・オースター/柴田元幸訳『ガラスの街』

新型コロナのためにかえって忙しくなってしまっていたためにしばらく読むのをストップしていたのだが、ここに来てまた読みはじめた。以前発売されていた別の人が訳した本作(確か『シティ・オブ・グラス』というタイトルになっていたと思う)を20年以上前に…

ポール・オースター/柴田元幸訳『ガラスの街』

少しずつ読み進めている。私立探偵ポール・オースターに間違えられたクインは、虐待を受けながら育ったらしい依頼人を出所してくる彼の父親から守るという依頼を受け、その準備を始める。クインはノートにメモを書き出すが、状況ゆえなのか、それともクイン…

イタロ・カルヴィーノ/米川良夫訳『見えない都市』

何日か前からちょいちょい読んでいる。学生のころに二回読んだはずなのだが、まったく内容を覚えていないくて呆然とする。ま、覚えていなくても仕方ない作品なんだけどね。マルコ・ポーロがフビライ汗に旅の途中で立ち寄ったさまざま都市について語る、とい…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』読了

最近は、緻密に計算された構成の作品はほとんど読んでいなかったし、そのような作品におもしろさも感じられないようにもなりつつあった。本作は、まさにぼくが最近よんでいなかった作品の典型という感じ。 ぼくの好みではないのは確かだし、手記風に書かれて…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

かなり時間かけて読んでるけど、やっとこさ、もうすぐラスト。ここまで読んで、なぜ作者が(いや、訳者が?)手記風にこの作品を書いたのか、ちょっとわかったような気がする。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄 出版…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

延長を求めてマダムの元にやって来たトミーとキャスは、ついにヘールシャムとは何だったのかを知る——。 クローン技術の倫理的問題はずいぶん前から指摘されていたが、こうして物語化されると、問題のリアルな重さに押しつぶされそうになる。 わたしを離さな…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

またまた読書再開。 二度目の提供で体調が悪化したルースは、静かにこの世を去る。そしてついに、キャスはトミーの介護人になることを決意する。 ここまで丹念に描かれた人間関係が、ここにきて一気に収束に向かっていく…。 わたしを離さないで (ハヤカワepi…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

最終章。臓器提供者の介護人となったキャシーは、彼女より先に提供者となったルース、そしてトミーと再会する……。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/08/22 メディア: 文庫 購…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

昨日から再開している。こういうメチャクチャな断片的併読、やめたほうがいいんだろうけどなあ。 仲間たちの間に自然と生まれる亀裂、そして別れ。学校での共同生活から離れれば、彼らには厳しい現実が待ち受けているようなのだが……。 生きるとはどんなこと…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

キャシーたちクローン人間の「親」ともいうべきオリジナル個体は、明かされない。だが、どんな社会的身分の者たちなのかが物語中で語られはじめた。 読みすすめるにつれ、「人権」という言葉が重くのしかかってくる。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) …

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

コテージの先輩たちが見かけた、と主張する、ルースの遺伝子の母体となっている人間(作中ではポシブルと呼んでいる)を探しに出かけたキャシーたち。深刻で存在意義やらアイデンティティやらに深く関わりそうな問題に直面しかかっているにも関わらず、彼女…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

作中ではじめて、キャシーやルース、トミーたちヘールシャムの子どもたちはクローン人間であることが明かされる…。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/08/22 メディア: 文庫 購…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

ドラマ放映中。でも話が重すぎて見てる人が少ないみたい。まだ読みはじめたところで、よくわからない。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/08/22 メディア: 文庫 購入: 32人 ク…

ルシア・ベルリン/岸本佐知子訳「火事」

「群像」2015年1月号掲載。ガンで余命いくばくの妹に会うためにはるばるメキシコにやってきた姉。しかし、姉が到着するやいなや、二人に「空港の火事」という大事件が襲いかかる。必死で逃げた二人の絆のシンプルで自然な描写に驚かされる。短い作品だという…