わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・哲学・思想の読書日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

読書日記

中村太郎「慎ましく世界を破壊すること」

読了。なくした右腕を探す男は絶望して義手を壊し、男に付き添った若者は自殺したかもしれない女とその子どもに会いに行く。厭世的な雰囲気に満ちた作品だったが、最後にかすかな希望が見える。ベタな表現だが、そんなことは関係ない。 群像 2017年 10 月号 …

中村太郎「慎ましく世界を破壊すること」

「群像」2017年10月号掲載。1970年代の東京が舞台。無気力な青年が出会った子連れの売春婦・夏子は彼に自殺を予告。その数日後、若い女と乳児の身元不明の死体が見つかる事件が起きる。彼はその死体が夏子かどうか確かめるために遺体が安置された警察署へ出…

大澤真幸「〈世界史〉の哲学」近代編10 終わりなき終わり

「群像」2017年9月号掲載。資本主義以前の社会形態(貨幣、あるいは交換価値そのものが存在しない時代)と、資本主義との本質的な違いを、「労働」のあり方に求めている。より具体的にいえば、その労働は誰のためのものか、という問題。非資本主義(前資本主…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」

「群像」2017年10月号掲載。餅。餅だけで1話。 群像 2017年 10 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/09/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 堀江敏幸の作品はこちら。

諸星大二郎『BOX』(1)

「箱」をテーマにしたサスペンス色の強いホラー。ちょっと異次元的というか。『栞と紙魚子』のムルムルとか『妖怪ハンター』のヒルコみたいのもウジャウジャ出てくる。 諸星先生、コレもおもしろいのですが、はよ『西遊妖猿伝』の続きを書いてください。悟空…

大澤真幸「〈世界史〉の哲学」近代篇9 召命と階級」

「群像」2017年8月号掲載。ルター訳新約聖書で「召された」という表現がドイツ語ではBerufにあてられていることにヴェーバーが着目している点を出発点に、資本主義の根本である「階級」の概念の本質に迫っている。ヨーロッパの歴史のなかで一度は廃止された…

はな子のいる風景

六時十五分起床。午前中はひたすら掃除。長雨のせいだろうか、階上から錆を含んだ水が長いこと垂れつづけていたようで、二階のわが家、そして一階のお宅の庭がひどく汚れている。三階の方のベランダに付けられている古いパラボラアンテナが原因なのか、それ…

古井由吉「梅雨のおとずれ」

「群像」2017年10月号掲載。 冒頭だけ読んだ。めずらしく、本人の幼少期の子どもらしい無邪気でちょっぴり悲しい思い出が、いつもより柔らかな文体で語られている。こういうのも、いいと思う。ま、戦時中の記憶、ということではあるのだが。 群像 2017年 10 …

ドウス昌代『イサム・ノグチ』

時間を見つけてはチョイチョイと読み進めている。1920年代に奨学金を得たイサムはパリへ留学するのだが、彼のアトリエのすぐそばに藤田嗣治もアトリエを構えていて、親交があったらしい。藤田は非常に好きなのだが、この接点にはちょっと驚いた。 イサム・ノ…

少しだけの進化

六時起床。涼やかな朝だが気温は徐々に上がっていく。 午前中は仕事。一日かかるかと思っていたが、午前中でまとまってしまった。午後は本でも読んでのんびりしようかと思っていたが、オーブントースターが壊れてしまったため、急遽買いに行くことに。 吉祥…

保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』

「彫られた文字」。所々に小島信夫っぽい文章が。 地鳴き、小鳥みたいな 作者: 保坂和志 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/10/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 保坂和志の作品はこちら。

保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』

「キース・リチャーズはすごい」を読みはじめる。うん、「群像」だったか「新潮」だったかに初出した時に読んだ時と印象はおなじだな。エピソードの断絶的継続、なんて矛盾したことを考えた。 地鳴き、小鳥みたいな 作者: 保坂和志 出版社/メーカー: 講談社 …

三浦雅士「言語の政治学」(最終回)

「群像」2017年8月号掲載。バレエと言語の関係。というより、自己認識の関係と言ったほうがいいのかも。言語と視点が自己認識の基本となるからね。バレエは全然詳しくないけれどモダンバレエには興味があって(ピナ・バウシュくらいしか知らないけど)、ピナ…

三浦雅士「言語の政治学」(最終回)

「群像」2017年8月号掲載。最終回はいつもより長いのか、それともぼくがダラダラ読んでいるからなのか、なかなか読み終わらない。バレエ(肉体)、映画(視覚・聴覚)と、さまざまな切り口から言語の政治性と孤独さを掘り下げているのだが、最後に無理やり詰…

堀江敏幸「二月のつぎに七月が」(5)

「群像」2017年9月号掲載。 「算盤とは、補数に始まり補数に終わる」。名言的だが、ピンと来ないのは「○○から始まり○○に終わる」という表現が紋切り型だからだろうか。 食堂の料理人が高校生のためにつくってあげた、そしてその後、賄いとしてつくったおにぎ…

強い陽射しとテープ台

例によって麦次郎をチェックするために夜中にちょこちょこ起きつつ、六時起床。身支度、猫のトイレの始末、インコのゲロの始末、朝食。曇天。時折、雲の谷間から八月らしい強烈な陽射し。 午前中は仕事、そして掃除。セロテープ台でうっかり手のひらを切って…

保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』

表題作、読了。なぜかラスト前に組み込まれている男をダメにしてしまう女のエピソードは、内容だけでなく、その軽妙でテンポのよい文体がおもしろかった。そしてラスト、おかしな迂回エピソードが、突然、いや偶然なのか、「母の実家」というこの短篇の中核…

保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』

表題作を、まだタラタラと読みつづけている。山梨の母の実家近辺探訪と思い出の蔵出し状態は、まだ延々とつづく。そして、時々登場する明らかな、そして意図的な文法ミス。主語や目的語が、ちょいちょいすり変わる。 地鳴き、小鳥みたいな 作者: 保坂和志 出…

週刊モーニング

「GIANT KILLING」うまく話を切り替えた。 「グラゼニ」凡田、周囲に翻弄されつづける。そしてピンチ。 「CITY」最後の鎖にしびれた! 今、一番好きなマンガ。 GIANT KILLING(44) (モーニングコミックス) 作者: ツジトモ,綱本将也 出版社/メ…

保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』

表題作。読売新聞に連載していた『朝露通信』の後日談的な内容。地の文での「あなた」という問いかけが印象的だったが、「あなた」は読者でも架空の話し相手・聞き手でもなく、実は一緒に山梨の母の実家を見に行ったことのある浮気相手の女性編集者だった、…

見えない朝日

四時三十分、猫の世話で起床。二度寝し、五時三十分起床。曇天。膨らみがはっきりわかる大きな雲が重なりあいながら広がっている。その重なりからたまたま漏れたすき間から、黄金色の朝日が覗いている。麦次郎、朝から外に出せとうるさいので出したのだが、…

たぶん揚げ方

朝が慌ただしい。いや、明け方が慌ただしい、と書いたほうが正確か。麦次郎が歩き出した気配とともに起きて、ゴハンをあげたり、廊下へのそそうをチェックしたり。枕元で叫ばれて目を覚ますこともある。ほとんどの場合、おしっこ出ました、の報告だ。 五時三…

三浦雅士「言語の政治学」(最終回)

「群像」2017年8月号掲載の最終回。まだ最初の数ページしか読んでいないのだが、最後の最後で、視覚的であり図形的であるという点で言語表現と相似するバレエによる身体表現について論考している。ちなみに著者は、バレエ専門誌の編集者をしていた経歴を持つ…

保坂和志『地鳴き、小鳥みたいな』

最新短篇集、ということになるのかな。 「夏、訃報、純愛」。世話になった知人の学者の死が引きがねとなって、保坂和志自身らしき語り手の、回想と思考の暴走がはじまる。無宗教の友人の葬儀と、猫の葬儀。両者がよく似ているというのは、よくわかるなあ。そ…

粗相の数

今朝も四時に一度起きて、麦次郎の粗相を始末。だが今日は総じて、粗相する回数が昨日よりは少なかった。五時三十分、きちんと起床。 コジコジは換羽がどんどん激しくなっている。それと比例するように、おしゃべりをよくするようになった。 今日は終日書斎…

古井由吉「たなごころ」

「群像」2017年8月号掲載の新連作。 ここ数年のテーマにしているように思える「老い」と「死」が、小説というよりは思索のつらなりという趣で展開されている。 群像 2017年 08 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/07/07 メディア: 雑誌 この…

橋本治「九十九歳になった私」(11)

「群像」2017年8月号掲載。飛ぶ意識、生きづらい社会状況、生きづらい身体。うーん、おもしろくもさみしい。 群像 2017年 08 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/07/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 知性の顚覆 日本人がバカに…

大澤真幸「〈世界史〉の哲学」近代篇8 商品の救済/人間の救済

「群像」2017年7月号掲載。 商品が交換によって貨幣となり、貨幣が交換によって別の商品となる、という資本主義の基本的な価値交換のシステムと、宗教との関連性。 無限の富の追求が根底にある資本主義がキリスト教のような一神教のもとで発達したことの複雑…

三浦雅士「言語の政治学」(12)

「群像」2017年7月号掲載。 人間だけが対面で性行為ができること、対面で子どもに乳を与えることができること、といった「対面」が、自分ではなく相手の視点を脳内に図式化して構築できる(イメージできる)能力を生み出し、これが視覚としての言語の発達・…

今日の事件簿

麦次郎今朝もおしっこ失敗事件 麦次郎なにかと命令やワガママが激しい事件 コジコジゲロゲロ継続事件 黒柳徹子事件 全部新宿の小田急百貨店で済ませた事件 焦ってますか?事件 予定が微妙に変わった事件 読書は週刊モーニング。「グラゼニ」どう活躍するのだ…