わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・哲学・思想の読書日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

辟易/謎鯨/恢復

歯クジラ。

 エアコンがキライなのはどうやら花子もおなじらしい。連日の夜鳴きに辟易し、今朝方は和室で熟睡するカミサンと交換してもらったのだが、エアコンを切ったらおとなしくなったという。くわえて花子はカミサンにワガママを言わない、というのもあるだろう。おねだりは、きびしいカミサンよりも甘っちょろいぼくのほうが通りやすいとわかっているようだ。猫とはひとを見る目があるもののようだ。

 五時三十分起床。六時四十五分、事務所へ。最高気温三十五度を記録した昨日の朝より暑さを感じる。前日の熱がアスファルトの上でよどんでいるようだ。ぼんやりとした雲が薄く広がる空の色からは、猛暑とはとても思えない。が、ひとは見かけによらぬもの、ではない、そらは見かけによらぬもの。先入観だけで空を眺めても、暑さ寒さが結びつかないこともある。ガラスとコンクリートで天地と四方を囲まれたビルの、エアコンを聞かせた空間の中では、静かに暑さを大気にため込む空の変化などわからない。現代人は、もっと感覚を研ぎ澄ますべきだとつくづく思った。
 
 十一時、小石川のL社で打ち合わせ。おなじ桜並木でも、蝉が密集している木とそうでない木と、ムラがあるのはなぜだろう。蝉の声かと思えば、クルマの振動する音やエアコンの室外機の騒音だったりする。だまされた、と感じつつ歩を進めると、いきなりミンミンミンの大合唱にぶち当たる。だが、騒音を蝉の声と勘違いした鈍感なぼくの耳には、ミンミンミンが、セロファンを小刻みに震わせている音に聞こえてしまう。そういえば、蝉の鳴き声のメカニズムを知らない。あの音は、蝉の身体のどこから出てくるのか。
 
 十二時三十分、いったん帰社。昼食といくつかの連絡などを済ませ、ふたたび外出。十五時三十分、水道橋のE社にて打ち合わせ。終了後、渋谷で某カラオケボックスの企画のために、渋谷の街をデジカメで撮影。若者はみんなタトゥー丸出しだ。撮影を適当に切り上げて、西武の「ヨウジヤマモト」で先日購入したセットアップを引き上げる。ついでに、気になっていた「ジョージコックス」とのコラボレーションのサイドジッパーブーツを履かせてもらう。かっこいいんだけど、ちょっと高いなあ。高校時代陸上をやっていたせいか、人並み以上に脚力があり、すぐに靴が壊れてしまうので、あまり高価な靴は買えない。
 
 十八時、帰社。義父母が来ていた。義父、オンライントレードをはじめたいようだ。今進めている某証券会社のパンフレットで使った資料をいくつか見せてあげた。本気のようである。

 二十時、店じまい。阿佐谷のハリボテ祭り、じゃなかった七夕祭りを見物に行く。商店街「パールセンター」のアーケードの天井から七夕の飾りがぶらさがっている。仙台の七夕のような、先が丸い牡丹というか、くす玉のような、あの玉状のものに、シャラシャラした足が何本もついている形の飾りもあるのだが、それよりも見ごたえがあるのが各店舗が腕をふるったキャラクターもののハリボテだ。毎年著作権を完全に無視したブサイクでテキトーなハリボテを見てカミサンとふたりで馬鹿笑いするのがしきたりだったが、今年はどういうわけか各店とも完成度が高い。どこかから指導を受けているのだろうか。しかし、申し訳ないがあまり上手にできすぎていると
つまらない。下手っぴな演奏でも勢いとエネルギーで聴かせてしまうパンクロックにも似た、ブサイクでオリジナルとは似ても似つかないからこそ魅かれるのに、オリジナルに忠実ではなんだか映画やらテレビ番組やらのプロモーションのコーナーを覗いているようで少々気が抜けてしまう。
 今年の個人的なナンバーワンは、コレ(写真)だ。クジラだろうか。続発するクジラ座礁事件を見て作る気になったのか。それとも…。よくわからんが、クジラというよりはナマズのようなフォルム、真っ正面に向かって吹き出す潮、そして妙にとがったシャチみたいな歯には、神がかったようなプリミティブなエネルギーを強く感じる。
 夕食は「福来飯店」。ちょっと味が落ちたかな。化学調味料はかなり使っているようだ。
 
 二十二時、帰宅。花麦対面ゴハン。今日も完全リラックス。花子が麦次郎のほうに顔を寄せ、自分のデコを麦次の鼻にくっつけようとしていた。わたしのデコの匂いをかぎなさい、昔あんた、よくわたしのデコ舐めてたでしょ、とでも言いたそうだ。あまりに態度がナチュラルなので、しばらくリードをつけたままほったらかしにしておいた。が問題は起きない。ふたりとも、まったりと床やテーブルの天板の上でコロンコロリンと寝転がっている。
 
 金井美恵子『タマや』。タマ、避妊手術。世界観が『小春日和』とシンクロしはじめた。もっとも『小春日和』は読んでいないのだが。続編の『彼女(たち)について私が知っている二、三の事柄』のほうを先に読んでしまった。
 奥泉光「石の来歴」。なんか、スッゲエまじめな文体。




金井美恵子『彼女(たち)について私が知っている二、三の事柄』
彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄 (朝日文庫)