わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

堀江敏幸『いつか王子駅で』

 まだ正吉さんは帰ってこない。帰ってくるなら、普通の小説。帰ってこないなら…やっぱり普通なのかな。物語としては。この作品のスゲエところは、物語の軸があまりにも平坦である、ということ。正吉さんの不在が、わずかにしか日常にズレを生じさせていないのだ。