わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

三鷹芸術文化センター・星のホール 「ツグノフの森」

 作・演出G2。片桐仁ラーメンズ)主演(なのかな)。地滑り型の大地震により地形が入り乱れてしまった日本が舞台。地形の変化により地方自治体同士が争いをはじめ、戦国時代のような内戦状況になった中、三鷹の森に住む画家のもとに、埋めたはずの父の死体を地震の地形変動のために見失ってしまい、それを探そうとする姉弟が、銃を撃てない兵士の捕虜というかたちで転がり込む。その画家は昏睡状態に陥った女性の世話をしており、彼は彼女が原因で真っ白な絵しか描けない状況にある。画家の隣人は知的障害者のようだが、なぜかニンゲンには見えないものが見える。彼が飼っているという目に見えないドウブツのようなものは、実は……。そして、この戦乱の時代を巻き起こした原因は、実は数学者だった姉弟の自殺した母親にあり……。と、たくさんの要素が複雑に入り組んだ、少々難解な舞台。ストーリー自体もニンゲンの愛情のあり方とその行方、そこに含まれた悲しみと希望の織りなすさまざまなカタチをテーマにしているようで極めて重いのだが、それを軽快な展開とちりばめられたギャグのフィルターで、万人にすんなりと受け入れられやすくなるよう工夫がされている(といっても、観た後の後味の悪さや胸の重たさはさほど変わらぬのだが)。映画でこれをやれば場面の切替などに観る者がついていけないような気がするし、文学でやれば要素が多すぎ、説明も過多で読み疲れてしまうかもしれない。演劇に適したテキストや演出方法というのがあるんだなあ、と痛感した作品でした。下手な映画よりすばらしい。舞台のほうが鑑賞料は高くつくが、それに見合った価値があると思う。
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