敬老の日。ピンと来ない祝日。お年寄りを敬うという意図はわかるのだが、父が早くに両親を亡くし、母も若いころに父親を亡くしていたせいか、祖父母という存在がやたらと縁遠い。母方の祖母はまだ健在だが、身近な存在ではなかったし、たまに会う祖母にぼくがなついていたということもなかったらしい。ぼくには子どもがいないから、自分が祖父になるということもない。ただ年を重ね、よぼよぼになったころに、赤の他人から二人称の呼称として「おじいちゃん」と呼ばれる。それだけだ。それでいいと思っている。あのじーさん、いかしてるじゃん。そう言われたいが、どうなることやら。
五時五十分起床。明け方に雨が降ったようだ。ベランダの手すりに水滴が溜まっていた。空は一面灰色で、立体感などどこにもない。ゴミを捨てに行くと、ツツピ、ツツピと近くからシジュウカラの鳴き声が聞こえた。スズメの声はない。カラスは十数メートル先にある電柱のてっぺんから、ぼくがゴミを捨てる様子をじっと見ていた。時折、遠くからカアと聞こえた。サビ猫が目の前を通り過ぎた。一時間だけ仕事してから掃除。つづいて買い出し。西荻窪の「三月の羊」でパン数種。生協でタマネギ、ニンジンなど。
午後より仕事。先日の取材のテープ起こし(ICレコーダーを使ったけど)。夏は密閉型ヘッドホンだと蒸れるのでイヤホン型を使うのだが、耳の穴が小さいのか、耳の形がおかしいのか、よくわからんが三十分も付けていると痛くなってくる。それでなくても、録音された自分のインタビューを聞きつづけるというのは苦痛。なぜここでこれを掘り下げない、なぜこんな話を膨らませる、と後悔と反省ばかりがつづく。まあ、この反省があるからこそいい文章に仕上げることができるのだけれど。
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