文句なし、二十一世紀の源一郎さんの最高傑作。空想的であること、時代を素直に反映すること、夢や希望に満ちていること、悲しさと正面から向き合うこと、そして自分自身の姿を色濃く反映すること。ともすると文学の範疇から大きく逸脱してしまう要素ばかりだけれど、これらを巧みに取り込む、というよりこれらだけで作品を成立させることで、本作は純文学以上に文学的な作品に仕上がってしまった。いわゆるカッコつきの「文学」ではない、もっと根源的な何かが感じられる。それが何かは、きっと読み手によってまったく違った捉え方をされるのだろうなあ。少なくとも、ぼくには奇跡的な作品と読めた。
源一郎さん、これを超える作品を書くのは大変かもしれないなあ……。
- 作者: 高橋源一郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/05/17
- メディア: 単行本
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