長かった…。
一方的に流れてゆく時間により、誰もが変わらざるを得なくなっている。死んだ者もいる。だが、変わらぬ部分もある。思い出だって残っている。もっとも、思い出は埋没すればするほど、自分を追いつめてしまうこともある。
過去も現在も、苦しみも歓びも、他愛ないことすらも、受け入れること。それによってのみ、人は未来へと踏み出すことができる。そんなことを、ものすごーく遠回りに言っているような気がする。だが本作は、テーマ云々よりもラストに至る過程、そのすべてにおいて、何を描き、何を語ったかにこそ価値があるように思える。ラストに至るまでのすべてのエピソードによって重層的に描き出される、灯台の見える家での暮らし。その全体像と細部の整然としたメチャクチャさ、とでも言えそうな描写が、本作の一番の魅力なんじゃないかな。
灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)
- 作者: ヴァージニア・ウルフ,ジーン・リース,鴻巣友季子,小沢瑞穂
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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- メディア: 単行本
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- 作者: ヴァージニアウルフ,Virginia Woolf,御輿哲也
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/12/16
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