奈良にある松伯美術館(上村松園・松篁・淳之の三世代の作品を収めた美術館)で行われている、若手花鳥画家の育成を目的とした公募展の優秀作品展。現代芸術も最近は関心を抱くようになってきたのだけれど(というか、若いころは現代芸術のほうが好きだった)、ずっと近代画にばかり惹かれていた時期があり、花鳥画もまあ、それなりに観てきた。個人的には好きなのだが、今の時代の空気に今ひとつあっていないようなところがあるので、話題になることは少ないかもしれない。だが、こういった試みがあり、そこに向かって突き進む画家もいるのだから、ひとまず安心。守りつづけてほしい分野。
幽玄かつ繊細に描かれた草木や動物たちの姿の向こう側に、生命の神秘なんてものを通り越して、あの世 の神秘まで透けて見えるような気がしてしまった。怖れを感じるほどの美しさ。……違う印象の作品もあったけど。総じて見応えがあった。
19日まで。2011年1月12日〜2月27日/名都美術館に巡回。