ちょっと珍しいファッションをテーマにした企画展。何年か前にヨウジヤマモトのドレス展みたいな企画をどこかでやっているのを観たが、それ以来かな。そもそも、美術館に来るのがかなり久しぶり。こまめに通いたいのだが、最近は企画展の混雑がすさまじすぎて行く気がなえたり、それ以前の問題として時間をうまくつくれなかったり。うーむ……。
「陰翳礼賛」「平面性」など、いくつかのテーマに分けて、大御所から新進気鋭まで、ユニークでエポックメイキングな作品を展示している。衝撃的なのはやはり80年代のコム・デ・ギャルソンとヨウジヤマモト。両方とも大好きでなじみ深いブランドだが、改めて美術作品的な視点から見ると、その緻密な計算された美しさと計算を拒否するような美しさ、女性の美を否定するような作意と人間の存在そのものの意味を引き出そうとする作意、服とは何かという問題提起と、そんな問題提起すら否定しようとするような服自体の説得力の強さ、そんな、相反する要素をあのドレープやプリーツ、重ねた生地、開けられた穴といった意匠のなかに垣間見ることができる。こんなことをされてしまったら、後続のデザイナーはもう何もできないよなあ。実際、ヨウジとギャルソンの1983年秋冬ショーの映像を観た後に、現代の若手のショーの映像も観たのだが、なんだかコントの衣装みたいに見えてしまった。やっていることはおもしろいのだが、そのおもしろさが、観る人によっては紙一重の境界線をやすやすと越えてしまうのだ。
今日で展示終了。気になる人はAmazonでも目録が買えるので、手に入れてください。
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