わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・哲学・思想の読書日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉「雨の裾」

「群像」11月号掲載。隔月で掲載されている連作短篇の六作目。気まぐれで激しい降り方のつづいた今年の梅雨の記憶から、二十数年前の高層ビルの上で赤ワインを飲みながら眺めた強い雨の記憶が呼び覚まされ、その場をともにした友人の、がんに倒れた母を毎日見舞いつづけた学生時代の経験のエピソードへと、一気に展開してゆく。ずぶ濡れになりながら病室を訪ねる若い活力をややもてあましぎみの息子と、意識が遠くなるたびに、一人の女としての側面とちらりちらりと見せる母の、艶やかではあるがどこか乾いた微かな感覚の対比が切なくも美しい。
 四元さんの作品は、ちょっと気持ちが乗らなくなってきたのでしばらくお休みしてこちらを読みはじめた。古井さんは間違いなく現代最高峰の作家の一人だと思う。

 

群像 2014年 11月号 [雑誌]

群像 2014年 11月号 [雑誌]

 

 

杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)

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辻 (新潮文庫)

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