「群像」2014年12月号掲載。
気鋭の小説家と思想家の対談。平野啓一郎の新刊『「生命力」の行方』の発行記念対談というところだろうか。平野が唱える「分人主義」の思想を起点に、ポストモダンと分人との関連性、資本主義の起源とシステム、そして今後の問題、歴史あるいは時間感覚、さらには今後の社会構造や家族という単位のあり方についてを、怒濤の情報量で語り合っている。『「生命力」の行方』は読んでいないが分人主義については何冊か読んだし、大澤の資本主義論については、毎号楽しみにしている(が今回はお休みだった)「〈世界史〉の哲学」でも言及されていることであり、内容そのものについては大きな発見はなかったものの、対談としては不思議とおもしろいところがあった。ありきたりな言葉で表現するなら、「化学反応」というヤツだろう。
それにしても…平野さん、「〈世界史〉の哲学」読んでないのかな。そう思える発言がちらほらと。