わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

保坂和志『カフカ式練習帳』

 この作家にはめずらしく、SF的な作品があった。人間はある数値の1万倍までしかイメージすることができないとかいう、心理学だがなんだかの説に基づき、人生のすべてを記録し再生することができる未来の話を、技術的な話もある程度織り交ぜながら、リアルに描いている。そして話は、未来あるいは現在の、過去への干渉による影響はあるかという理論まで拡大されていく。ロボットや魔法が登場すればSF、というわけじゃないんだよねえ。サイエンス・フィクション=空想科学だから、科学的なロジックを物語のエンジンにしたフィクションがSFだと個人的には定義している。つまり、ガンダムミノフスキー粒子という概念やスペースコロニーへの移民という設定がきちんとしているからSFと呼べるけれど、「○○レンジャー」シリーズはそのあたりの設定が科学的というわけではないのでSFとは呼びにくい。そゆこと。

 そして、おじいさんが電車で隣に座って眠りこけるオッサンのペットボトルのお茶を勝手に飲んだ、という断章に爆笑。コントだな、こりゃ。ロバートあたりにやってもらいたい。

 

カフカ式練習帳

カフカ式練習帳

 

 

朝露通信

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