わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

戸田山和久『哲学入門』

第1章「意味」を読み進めている。人工知能は意味を理解していない、ということをスタート地点に、どんどん深堀りされていく。そもそも意味というものは解釈されて初めて成立する、という考えを、自然科学的な立場から著者は否定する。もっと自然発生的に存在するものであり、そこには自然科学が重要な役割を果たしているのではないか、と。つまり、科学が意味を創出しているのではないか、ということなんだろうけれど…この作品、文体は軽いのだけれど内容が重いのでなかなか読み進められないなあ。

 

 最近、Pepperなどのコミュニケーション・ロボットが話題だけれど、著者はロボットが(仮想的なということでなく、真の意味で、人間同様に)心を持つには、次のように設計しなければならないと述べているところが非常に興味深かった。引用。

 

(1)環境の中で適切な行動をとらなければ自己を存続させられない仕組みになっていること。たとえばバッテリーが切れるとプログラムが壊れるとか、高所から落ちると壊れるとか。

(2)自分のプログラムを書き換えて、変化する環境に適した行動の幅を広げることができる。

(3)うまく自己を存続させたときにだけ、自己と同じものを複製することができる。

 

 これは、ようするにロボットが生きものに似たあり方をしていなければならないということである。つまり、ロボットは心をもち、十全な意味の理解をもつ前にまず生きなければならない。

 

 

 ぼくなりに解釈すると、こういうことかな。

 

(1)は、常に存続(≒生命)の危機にさらされていること。人間で言えば、病気やケガのリスク。要するに、怖れだよね。

(2)は、学習し自身の行動を変えたり高度化したり拡大したりできること。もっと自己啓発的にいうと、「新しい自分に変われること」。

(3)は、大人になれること、なのかな。大人になってあらゆることに責任がもてるようになると、人は子供を産み、育てるようになる。うちには子供いないけどさ。

 

 

哲学入門 (ちくま新書)

哲学入門 (ちくま新書)

 

 

科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)
 

 

 

 

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