わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

損保ジャパン日本興亜美術館「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20's Paris カリエール、アマン=ジャン、ル・シダネル…」

 タイトルに副題的に添えられた三人の画家が、わからない。そもそも、印象派って19世紀後半じゃん。20世紀初頭で印象派やってる人なんて、時代遅れなんじゃないの?という否定的疑問がふつふつとわきおこりつつ、ポスターやチラシに使われていたエミール・クラウスの「リス川の夕陽」という作品の、静かなのになぜか時間の動きを感じさせる妙にダイナミックな夕焼けが非常に気になって、足を運んだ。

 学生時代のぼくはアバンギャルドな作風の画家にばかり関心が向かいがちだったけれど、その一方で、ルノアールの女性を描いた一連の作品の美しさにも実は惹かれていて、その関心が大人になってきちんと(あくまでぼくの尺度として、ね)印象派に向かい合うということになっていったのだが、関心の対象がルノアールからモネに移っていったなどの変化はあったものの(モネ展やってるけど、もうたくさん見ちゃったからあまり行こうと思わなくなっている。飽食ならぬ飽印象派)、基本的にはその程度で興味も意欲もストップしていた。そこにきて、この企画。あまり期待せずに見てみたのだが、すっげえ、こういうふうに進化していくのか、という作品があり、一方で、あー、そうなのね、というものもあり、という感じだったかな。以下、気になった作品。

 

  • エルネスト・ローラン「背中」…チラシ裏面中段にある。印象派全盛期には、こんなに肉感的な肌って描かれなかったんじゃないかなあ、というくらいドキッとした。でも、やっぱり印象派なんだよね。
  • アンリ・マルタン「野原を行く少女」…花の描き方! 草原から人物へとつながる感じの美しさ。背景の人物が一人、塗りつぶされてた(笑)。
  • アンリ・ル・シダネル「日曜日」…これもチラシ裏面中段にある。光と影の柔らかな対比。
  • 同「コンコルド広場」…印象派が夜を描くとこうなるのか。水面に反射するガス灯(?)の光の美しさ。
  • アンドレ・ドーシェ「サント・マリーヌの玄関口」…シャープな陰影、しっかりした稜線。これを後期印象派と呼ぶべきなのか? と思うくらい、モネやルノアールからは遠く離れている。でも、光を描く、感じたままに描くという考え方は共通…なのだろうか。
  • アルベール・バールトソン「ロンドン、カノン・ストリート・ブリッジ」…水の湿った感じに、妙に惹かれた。
  • エミール・クラウス「リス川の夕陽」…ポスターで使われた作品。夕陽に向かって流れていく雲が、時間まで描き出しているように感じた。こんな感じ方をしたのは、十年くらい前に見て感動した須田国太郎以来だなあ。もちろん須田とクラウスは全然違うんだけど。
  • ウジェーヌ・カリエール「瞑想」「アルフォンス・ドーテ」…単色画の技術的な素晴らしさに圧倒された。境界なき明暗。

 

 常設のゴッホ「ひまわり」も見てきた。前に見た時よりもオドロオドロした感じが弱まっているのは、ライティングのせいかな。横にあったセザンヌのほうが好き。

 

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