わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

「徹底討論 21世紀の暫定名著 一般書篇」読了

 ビッグデータに依存した(政治を含めた)社会づくりや経済活動の先には「想定外」という落とし穴があるのではないか。なぜならビッグデータは顕在化した出来事の集合体、そしてそれを読み説く(=分析する)ためのものでしかないから。そこで推測された未来像はあくまで過去という事実に基づくものであり、そこで起こりえなかった「想定外」を未来に生じうるものとして導き出す方法としては不適切(というか、不得手であり不可能)だからだ。……というような発言(というか、一連の対話。こういうことを書いている「暫定名著」があるってことだな。ちなみにぼくが書いたのはかなり自分なりに解釈してますので)にはドキッとさせられた。ぼくが身を置いているマーケティングや広告の世界はまさにビッグデータ依存の方向に大きく舵を取ろうとしている状態だからだ。「宣伝会議」などでビッグデータの特集を読んだりデータ活用偏重型のマーケティング手法にどっぷり使ったマーケッターの話を聞いたりするたびに、感心すると同時に違和感を覚えていたりもしたのだけれど、整理するとこういうことなんだろうなあ、と痛感。

 他にも温暖化や原発といった問題についても思想や科学の面から冷静に分析している面白い座談会なので、興味のある人はぜひご一読を。(めずらしくオススメをしてみました)

 

 

群像 2016年 01 月号 [雑誌]

群像 2016年 01 月号 [雑誌]