わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

藤田嗣治展へ

 五時四十五分起床。空気のじっとり湿った感覚はなく、気温もさほど高くない、さわやかな朝。いくぶん風が強い。空を見上げると、雲が秋のかたちをしていた。積乱雲が見あたらない。かすれるように薄い雲が横長に、千切れ千切れに広がっている。

 午前中は仕事。

 午後は仕事の大半が手離れしたので、思い切って上野へ。東京都美術館の「没後50年 藤田嗣治展」に行く。美術系の仕事で藤田を扱う予定があるので、これも半分仕事だ。現物を鑑賞するのは十年ぶりくらい。そして、もう何度見ただろう、という感じ。新鮮味は当然ながら、ない。だが藤田の絵は人間の暗い性的衝動と女性への憧憬、日常に潜むフェミニズム的な愛情、動物愛、日常愛、そして自己愛と自己批判の危なっかしい調和、そんなものが溢れかえるほど感じられて好きなので、何度見ても、愛おしくなる。今回はなんだか、乳白色の肌ではなくて、布地の描写ばかり見ちゃったなあ。はっきり言って、異常。人物は引き算で描いているのに、その背景にある布地や床材などの木目は、神経質なくらい正確に、緻密に、丁寧に、テクスチャーや柄を描いている。見れば見るほど、ヘンに思えてくる。

 

▼たとえば、この作品。裸婦じゃないから肌と布地の描き方の違いがわかりにくいけど。そういえば、猫の毛も執着的に描いているよね。

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▼図録、東京都美術館限定バージョン。表紙だけ違うらしい。ちょっとわかりにくいけど、この作品の床の木材の描き方も肌とは対比的。

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藤田嗣治 エコール・ド・パリの異邦人 (TJMOOK)

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藤田嗣治作品集

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藤田嗣治「異邦人」の生涯 (講談社文庫)

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藤田嗣治画文集 「猫の本」

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