わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

2010-01-01から1年間の記事一覧

磯崎憲一郎「赤の他人の瓜二つ」

「群像」一月号より。イソケンさんの作品を読むのは、実ははじめて。赤の他人だが自分と瓜二つの男、その家族や勤務先の話が迷走しまくる。ごくありふれた日常のなかに潜む妙な事実が、次々と重ね上げられてゆく…。群像 2011年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー…

掃除と喘息

六時、花子の吐瀉で目が覚める。水状のゲロを玄関に吐き散らしている。感染病か、腎不全の兆候か、とひやりとしたが、吐き終わった後はすっきりした顔で、ぼくが抱きかかえると喉をゴロゴロと機嫌よさそうに鳴らしていたから、おそらく水を飲み過ぎたか、毛…

世間を騒がす中国のロボットたち

古い消防車を使って製作された赤いロボットはほほえましいけれど(完成度は別だよ)、黄金のガンダムのほうは、笑えるかもしれんが、笑ってはいけないシロモノ。サンライズの許可は取っているのだろうか。 http://www.gizmodo.jp/2010/12/post_8186.html htt…

三浦雅士「孤独の発明」(13)

「現像」1月号より。デリダ、サール。サールについてはほとんど知らなかったのだが、三浦の紹介を読む限り、社会についての考え方はマルクスの言い換えって感じじゃ…なんて思ったが、浅い理解でこんなこと言うもんじゃないからこれ以上はツッコまないでおこ…

外は内になる

六時起床。身支度を進めるうちに空が少しずつ明るみを増してゆくのはわかるが、結露の増えた冬の窓ごしに眺めていると、部屋と空、あるいは家と空ではなく、水槽の内側と外側、という感覚に襲われる。家のなかは水槽の外側のようでもあり内側のようでもある…

三浦雅士「孤独の発明」(13)

「現像」1月号より。テーマは「言語的現実」。西洋合理主義や理性という概念が流れ込む前から日本に存在していた道理の、そして道理が理性とほぼおなじ意味の言葉に変遷していった過程について。感想は全部読み終わってから、かな。群像 2011年 01月号 [雑誌…

手抜き確認

六時起床。冷え込みの厳しい朝。窓を濡らす結露の量はさほど増えていないというのに冷え込みは昨日以上、一昨日以上に厳しい。布団から抜け出す直前、身支度はなにからはじめれば寒さを感じずにすむか、と考えてしまった。結局いつもと手順は変わらないもの…

今日の事件簿

デンタルフロス用のホルダーもろた事件 ブラック師匠の天丼付き独演会事件(明日だよ) もちもちしてないベーグルなんて事件 アセロラ体操は踊らない事件 コーギーはくさいですよ事件 挨拶しっぱなし事件 自転車はギアなしで十分事件 イマドキの自転車はLED…

サラ・イネス『猫も寝てはならぬ』

「週刊モーニング」に連載中の『誰も寝てはならぬ』に登場する猫、ロシアンブルーの利休之助が登場するエピソードだけを集めた編集版。少しだけ読んだ。猫の好き勝手さ、理不尽さ、頑固さ、間抜けさ、そしてドウブツとしての生態が、ヒジョーにリアルに描け…

高橋源一郎「日本文学盛衰史 戦後文学篇」(14)

「群像」一月号より。石坂洋次郎『光る海』の読解。なんだこりゃ。高橋さんの紹介のしかたにもよるのだろうが(ぼくは石坂を読んだことがない)、破綻している。というか、作品として成立させることよりも、(セックスについて、そしてときどき社会だの政治…

覚えることと区別できることは別なのだ

六時起床。といっても五時半に花子に起こされ、なだめては布団に戻り、起こされ、なだめ、布団に戻り、を数度繰り返したから、五時半に起きたと言ってもいいような状態。ごそごそと花子の相手をしていると、カミサンが「麦次郎が水ゲロを吐いた」と言う。水…

山崎ナオコーラ「昼田とハッコウ」(11)

「群像」1月号掲載。昼田、退職し実家の本屋を手伝いはじめる。 自分の人生における主人公とは誰なのか、という問い。青臭い疑問だが、キライではない。これは、答えは明確なはずなのに見つけることができずに迷走する人が多い、人類最大の難問なのかもしれ…

保坂和志「未明の闘争」(15)

「群像」1月号掲載。猫だすけ、そして深夜の突然の来客、二人目。まったく異質な存在が加わることで、主人公とアキちゃんのわけがわからないが妙に奥深い雑談が、どう変質していくのかが楽しみ。群像 2011年 01月号 [雑誌]出版社/メーカー: 講談社発売日: 2…

曖昧なる勝負

五時五十分起床。夕べの予報が正しければ雨が降っているはずだが雨音は聞こえず、むしろ冷え込みの厳しさのほうが気になってくる。この季節、起き上がる前に寒いと思ったら負けだ。布団から抜け出せなくなってしまう。もっとも、負けとは何に対してというこ…

田中慎弥「燃える家」(3)

「群像」1月号掲載。感想文白紙提出事件を、教師側と生徒側、両方の面から描くことで物語に厚みが出ていると思った。 帰宅部の連中が体育会の連中に対して感じるコンプレックスが、うまく表現されていた。ちょっと引用。こんな描写が挟まっているからこそ、…

吉祥寺美術館「未来へつなぐ花鳥画」 http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/

奈良にある松伯美術館(上村松園・松篁・淳之の三世代の作品を収めた美術館)で行われている、若手花鳥画家の育成を目的とした公募展の優秀作品展。現代芸術も最近は関心を抱くようになってきたのだけれど(というか、若いころは現代芸術のほうが好きだった…

会う猫は、みんな黒猫

六時三十分起床。やはり夜中、花子に騒がれたのだが、今回は十分くらい起きて水を飲むところを見てやったり、廊下をうろついているところを見守ってやったりしたら、すぐに落ち着いてくれた。この子は昔から「今から○○やるから見てて」と言わんばかりに自己…

超手抜き・博多風水炊きモドキ鍋

材料 鶏手羽先……食べたいだけ 鶏モモ肉……食べたいだけ 青ネギ……盛りたいだけ(薬味として) 白菜、キノコ類、などなど水炊きの具材……テキトー 塩、柚子胡椒、醤油 ポン酢用の柑橘類(今日はスダチを使用) 土鍋に手羽先だけを入れ、水を注ぎ、弱火でグツグツ…

多和田葉子「雲をつかむ話」(1)

「群像」1月号掲載の新連載小説。最近の多和田作品は『ボルドーの義兄』しか読んでいないのだが(次に新しいところで『ゴッドハルト鉄道』。かなり古いか……)、本作はそれらには希薄だった明確な物語性がある。多和田さんらしい、ちょっとずれているけれど…

眠るためならウズラも飛べる

六時起床。昨夜も花子に騒がれてしまい、あまり眠れず。どうやらお腹が空いたということらしい。しかしゴハンを与えても騒ぎつづけているのだから厄介。騒ぐな、と叱ると大慌てで逃げていくのだが、しばらくするとまた、遠くで「なんで叱られなきゃいけない…

疲れた身体にカフェインは効かない

いやいやよも好きのうち、のリクツにあわせれば眠い眠いも眠くないのうち、ということになるのだろうが、いや、このリクツのあわせ方は明らかに間違っている。要するに、眠い。昨日は妙な働き方をしてしまったので、ほぼいつも通り十二時半過ぎには寝たとは…

今日の事件簿

現在進行形事件

シャアがザビ家を倒すプランをメモっていたかもしれないノート

[rakuten:bunbougu-shibuya:10024206:detail]

アムロがガンダム操縦のコツをメモっていたかもしれない、そしてカツ・レツ・キッカが愛用していたかもしれないノート

[rakuten:bunbougu-shibuya:10024208:detail]

町田康『人間小唄』読了

さまざまな形の暴力によって物語が構築され、最後にたどり着いたのは、暴力による言葉の瓦解だった。しかし、その瓦解が文学に新たな可能性を示唆している、と読めなくもない。だとすれば、暴力こそが次代を拓く、ということなのだろうか。否定したい気持ち…

酔う脳味噌

六時起床。夜中のうちに雨が降るということは前日の予報で知っていた。眠っているうちに雨は降りはじめ、そして目覚めるころ、あるいは目覚めてまもなく止むであろうということもわかっていた。だから目覚めてもすぐに窓を開けて空模様を確認したりはせず、…

町田康『人間小唄』

暗殺失敗、身柄拘束、そしてタイマン。 本作を含め近年の作品は、以前と比べてストーリー性が強くなっているような気がする。初期はグダグダした私小説的世界が展開されていたが、本作は明確な物語の構成を持っている。浪漫的というか、冒険小説的というか。…

鉛の血流

五時五十五分起床。昨夜ほどではないが、またもや花子に騒がれてしまい、今ひとつ熟睡できず。猫飼いの運命、とアタマとココロでは割り切っているが、身体のほうはどうやら割り切れていないようで、朝から妙に身体がだるい。いや、だるいのは花子による不眠…

町田康『人間小唄』

屋台は失敗。作家の男はつぎに、暴力のなかの暴力、ともいうべき「暗殺」を行うよう命令されてしまう。 暗殺の対象となる男が、安易なトレンドメーカー/感動メーカー的な人間として描かれ、おまけに痛烈に批判されている。ただひたすらに、薄っぺらい。ただ…

寝不足坂

麦次郎が無事退院したのでハイテンションになっているのだろうか、花子が夜中に大騒ぎをする。ニャンニャンと鳴きながら廊下や洗面所やアトリエをうろつき、寝ているぼくの腹の上をずかずかと歩いて行く。起き上がってかまってやろうとすると、スッタカター…