わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

三浦雅士「言語の政治学(8)」 土着と外来

「群像」2017年3月号掲載。 日本文学、そして日本語の底流に仏教があるのでは、という考えから、仏教学者たちの思想に踏み込みはじめているのだが、リルケの思想が芭蕉や本居宣長に通じている、と主張する井筒俊彦という仏教学者の『意識と本質』という作品…

終わり、はじまる

五時四十五分起床。無彩色な朝。時間が経つに連れて少しずつ光を帯び、青に染まる。だがコジコジはいつも以上に機嫌を損ねている。もっとも、怒り狂うのは腹を空かしている一瞬だけで、満たされればすぐにいつものコジコジに戻る。麦次郎は朝から外に出せと…

磯崎憲一郎「鳥獣戯画」(13)

「群像」2017年3月号掲載。 明恵上人の話はひとまず終わり、現代に戻ったと思ったら女優と京都にいるという状況もこれ以上描かれることはなく、なぜか携帯電話をもたない理由について、そして長女の出産時の思い出(ここに携帯電話のことが多少からんでくる…

吟遊詩人/鳥も反省する

五時二十五分、尿意で目が覚める。そのまま起床。 例によって麦次郎にせがまれ、外廊下に出す。霞んだ空に白い雲が薄く長くたなびいている。あの空の色とミモザの花、そして沈丁花の香り、と三つが揃うと、妻がくしゃみを連発しはじめる。しかし今年は楽そう…

そういえば今日は東京マラソン

六時三十分起床。麦次郎に外に出せとせがまれ、出しても出しても、もっと出せ、とエンドレス状態になりかけた。今日は風もなく昨日より気温も高いので安心して出せるが、繰り返されると面倒くさい。外廊下でお隣さんご一家がお出かけになるところにはちあわ…

橋本治「九十八歳になった私(6)」

「群像」2017年3月号掲載。副題が「プテラノドン退治の巻」。ジュラシックパーク的に現代に甦ってしまったプテラノドンが、語り手の老作家の住む仮設住宅のそばに巣を作ってしまったために自衛隊が退治するのだが、アクションが語られるわけでなく、大半は科…

下僕感、空の季節

六時三十分起床。朝から麦次郎にシッコとウンコの始末を命じられ、外廊下に出せとも言われ、いつも以上に下僕感の強い朝。昨日ほど寒くないのは風がほとんどないからか。空に浮かぶ雲のちぎれ方と広がり方に冬らしさがない。霞みながら薄く広がる春の雲でも…

その影響もあるのかもしれない

五時四十五分起床。外では冬の冷たい突風が甲高くて騒々しい。 麦次郎の外に出せという命令だのゲロだのコジコジのカゴ掃除だのごはん入れひっくり返し対応だの、朝から動物がらみで何かと慌ただしい。だがすぐに落ち着いた。 仕事。経理処理をしてから、某…

瀬戸内寂聴「いのち」(10)

「群像」2017年3月号事件。 大庭みな子との思い出。奔放なみな子に対する夫の献身、そしてみな子からの愛。ちょっと不思議だけれど、これもまた夫婦の形。 語り手の寂聴は、語り部に徹している。 群像 2017年 03 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日…

今日の事件簿

思ったほど荒れない空事件 おもしろそうになってきた事件 どうして激混みなんだ事件 うますぎる中華弁当事件 一時間以上延々コピー事件 うますぎるタケノコ天ぷら事件 甥っ子就職内定事件 ラッセル・ミルズ事件

多和田葉子「地球にちりばめられて(4)」

他の言語とは明らかに違う日本語ならではの特徴に、登場する国を失った日本人たちの個性や話す言葉の特徴が重なり合っていく。ドイツ在住で、ドイツ語でも小説を書く多和田葉子だからこそ描けることなのかもしれない。すばらしい。 群像 2017年 03 月号 [雑…

二月二日二時二十二分

夜中に目が覚めた。スマホで時間を確認する。二時二十二分だった。二月二日二時二十二分。 五時四十五分起床。花子の命日。二年前のにゃんにゃんにゃんの猫の日に亡くなった。意識がなくなった最後の最後まできっちり自己主張した個性の強い猫だった。そして…

多和田葉子「地球にちりばめられて(4)」

「群像」2017年3月号掲載。 二人目の、地球にちりばめられてしまった日本人の登場? 軽妙かつ浮世離れした、というかふわふわ浮遊しているような独特の文体が、故郷というアイデンティティを失った人を描く小説の文体としてとてもふさわしい、と感じている。…

目に見えぬ存在に

ここ数日、四時半だの五時だの、やや早めに目が覚めている。二時、三時ごろに目が覚めてしまうこともある。花子にごはんを与えたり、花子に無理やり起こされていた時間であることに気づき、ああ、命日も近いしな、と納得した。目に見えぬ存在に起こされてい…

今日の事件簿

平穏だがしつこい事件 カード忘れた事件 マイペースでインドネシア事件 天元突破グレンラガン事件 アジフライイカフライ事件 天元突破グレンラガン コンプリート DVD-BOX (全27話, 660分) GAINAX アニメ [DVD] [Import] [PAL, 再生環境をご確認ください] …

大澤真幸「〈世界史〉の哲学 近代編4 貨幣の抽象化作用」

「群像」2017年2月号掲載。貨幣の本質は「負債」の流通化にある、ということなのかな。その後、貝殻だの麦だのといった疑似的な貨幣から硬貨という現代のものと同等の貨幣が登場するまでの経緯や歴史的背景を著者は考察していくのだが、古代ギリシャでの貨幣…

ぶち込んだのがよかったようだ

六時十五分起床。平穏な朝。麦次郎もコジコジも、何のトラブルもない。 午前中は冷たい強風。春一番の後に吹く、揺り戻しのような、冷たい冬の突風だ。風の強弱に合わせて、善福寺川の川面の波紋が複雑に揺れ動く。麦次郎が今朝は何度も外に出せとうるさかっ…

血が出るまで/ポトリ

六時十五分起床。 鳥カゴの掃除中、コジコジに血が出るほど指を噛まれた。腹が減って気が立っていたらしい。こっちも気が立つからやめろっつーの。と言ってもわかんないよなあ。過去に飼っていたどのセキセイインコよりも気性が荒い、というよりも気分の差が…

山本耀司・朝倉優佳「画と機」(東京オペラシティ アートギャラリー)

Yohji Yamamotoファンとしては絶対に見逃せない展覧会、ということで行ってみた。「ガキみたいに絵を描く」と言っていた山本耀司の言葉どおり、ジジイなのに若いエネルギーが感じられるタッチのラフなペインティング。正直言って絵のほうは感銘を受けたもの…

佐々木敦「新・私小説論(12) 一人称の発見まで(承前)」

「群像」2017年2月号掲載。 一人称とは何か。文学作品における語り手の一人称、日本語の一人称といった問題から、「作者と作品を切り離して読む」というロラン・バルトのテクスト論をすり抜けるように否定しつつ、佐々木は「作者0」という概念を提唱する。読…

鰻牡蠣卵

五時四十五分起床。あたたかい。おまけに仕事は余裕がある状態。だが、だからといって身支度が変わるわけではない。むしろ、暖かさに気分をよくした麦次郎が何度も何度も外へ出せとうるさくなる。コジコジも少しテンションが高いかもしれない。高い声でよく…

経過観察

五時三十分起床。麦次郎が朝からトイレの外にウンコをこぼしていた。コジコジは問題ないかな。 朝イチで慶應病院へ。先日のMRIとエコーの結果。結局所見なし、経過観察ということになった。血管の老化もない状態だから疾患が起こるほうがおかしい、というよ…

今日の事件簿

花子は高いところにいる事件(夢) アール・ヌーヴォー/アール・デコ事件 麦次郎いい感じ事件 パン祭事件 ちょっと多いかも事件 dカードはやっぱり解約しない事件 意外と素直事件(鳥) 衝動的にマグロのカマ事件 片岡義男『万年筆インク紙』読了事件(楽し…

三浦雅士「言語の政治学(7) 人は奴隷から生まれる」

昨日のつづき。考察は奴隷論から日本独自の仏教論へ。中古天台(というのを今まで知らなかったのだけれど)が現代日本の仏教の基盤になったと考え、この思想を批判する仏教学者の言説も紹介。なぜ原始仏教がインドではヒンドゥー教に吸収されるように消滅し…

発作/かわいい猫の箱

今朝も五時四十五分起床。いつも通りの冬の朝。 うどんで昼食。 午後、麦次郎がリビングで雄叫びをあげている。鳴き方がおかしいのでかけつけると、癲癇の発作を起こしていた。トイレに入ろうとする瞬間のことだったようだ。トイレの入口に敷いておいたペッ…

三浦雅士「言語の政治学(7) 人は奴隷から生まれる」

「群像」2017年2月号掲載。 奴隷というと差別的で人権無視なイメージがあるが、使役とか労働とか命令とか服従とか階級とか主従関係とか、そんな言葉を使って説明すればなんとなく納得できそうな。そこには責任の有無という問題も深くからんでくる。そして、…

今日の事件簿

夜中の寝癖が朝には消えた事件 ベランダ抱っこは日課です事件 今日はしつこい事件 何とか先が見えてきた事件 二日目の肉団子事件 シリアル二箱事件 ハンカチつままれた事件 べにふうき100個事件 真夜中に腹減った事件

磯崎憲一郎「鳥獣戯画(12)」

「群像」2017年2月号掲載。 明恵上人の入滅。今日の芸能ニュースにあった清水富美加ちゃんの出家のニュースと重なってしまって、宗教ってなんだろう、という疑問がふつふつと。 群像 2017年 02 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/01/07 メデ…

回復の一日

六時十五分起床。風邪っぽさはかなり抜けているが、頭痛。風邪ではなく首の不調に由来しているのかもしれない。午前中は猫とインコの世話、そして掃除を済ませ、横になった。昼食後はたっぷりと睡眠。夜は一時間半かけてじっくりとストレッチした。これでか…

佐伯一麦「山月記(8)」

「群像」2017年2月号掲載。 亡き友との思い出、そして突然の入院。遠い過去に水害にあった街をめぐる様子を淡々とつづっていた地味な展開から急展開。歴史小説的なノリが、突然私小説に方向転換したような感じ。 群像 2017年 02 月号 [雑誌] 出版社/メーカー…