わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

世界文学

あの警報音を聞くと、しばらく心がおかしくなる。人も、猫も。

五時四十分起床。雨音。個人的にはすっかり油断して予想していなかった空模様に軽く驚きつつ、身支度。篠突く、という表現ほどではないがそれなりの雨量で、マンションのゴミ集積所までエントランスからはわずか数メートルだが、傘が必要だった。意外にも、…

並行世界

六時二十分起床。雨。じっとりと蒸し暑い。午前中は掃除に精を出し、午後は溜め込んだシャツにアイロンをあて、時々居眠りし、と家事中心のののんびりした休日。 読書は、大澤真幸「〈世界史〉の哲学 近代篇22 役に立たない辞典」(「群像」2018年9月号掲載…

ダニロ・キシュ/山崎佳代子訳『庭、灰』

父の狂気が限界寸前。崩壊する親族との関係と家族の暮らし。家族それぞれもどんどん消耗していく。読んでいてツライ。 庭、灰/見えない都市 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2) 作者: イタロ・カルヴィーノ,ダニロ・キシュ,米川良夫,山崎佳代子 出版社/メー…

ダニロ・キシュ/山崎佳代子訳『庭、灰』

追いつめられる家族。追いつめられることを運命論で片付けようとする父。父を形式的に助ける親族たちの不潔さや肉感に感情をじわじわと揺さぶられる語り手。美化されていない、現実としての悲劇。冒頭の美しい旅の思い出との落差が激しくて、とにかく戸惑う…

ダニロ・キシュ/山崎佳代子訳『庭、灰』

「群像」の連載小説をみんな読んだので読書再開。 ほのかな憧れを抱くお姉さんの癲癇発作を目の当たりにした少年。母への愛情との奇妙だが誰でも通るのかもしれない、ジレンマ。ま、ぼくはこういう感情を抱いたことはないけど。 やっぱり過剰な描写の文体が…

ダニロ・キシュ/山崎佳代子訳『庭、灰』

鉄道での旅行の予告、そしてそれに関連する不眠症の改善方法についての模索。家族に悲劇が待っている、という先入観を抱いたまま読んでいるので、小さな幸せの描写がせつなくてせつなくて。 庭、灰/見えない都市 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2) 作者: イ…

ダニロ・キシュ/山崎佳代子訳『庭、灰』

語り手の「僕」の母への愛情と死への恐怖が、過剰気味に装飾された文体で語られる。文化的背景が違うのでわかりにくい比喩があったりして、ちょっと読みすすめるのがしんどくなるレベル。「僕」の繊細な感受性や真理の揺れみたいなものが巧みにつづられてい…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

ヘールシャムの子どもたちの性事情。保護官と呼ばれる教師兼監督者たちから子どもたちはきちんと性教育を受け、性行為自体は正当な権利として認められているものの、当然ながらきびしい寮生活でそんなことは滅多にできるわけでもなく。…というくらいの話なら…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

ついに、しかしさりげなく明かされた「提供」の謎。しかしヘールシャムで暮らす子どもたちは、その不条理さ、人権や尊厳を無視した横暴に、まったく気づかない。気づけるような教育も受けていない。洗脳的に、自らの役割を受け容れてしまっている。 わたしを…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

遅々として読み進まず…。ルースとの関係、そして「提供」という謎。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/08/22 メディア: 文庫 購入: 32人 クリック: 197回 この商品を含むブロ…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

ルースとの、なんとなくあまり思い出したくないような、心の暗い部分に潜ませたままにしておいたほうがよさそうな、ちょっぴりデリケートな思い出。しかし、子どもらしい無邪気さもある。その無邪気さが、大人たちの(まださっぱりわからない…ということにし…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

少しずつ明かされるヘールシャムという施設のシステム。しかし、そこで子どもたちが暮らす理由や目的はまだわからない。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2008/08/22 メディア: 文…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

生きる意味が根底から揺らぐ。そんな予感に満ちた導入部が、ようやく一段落した感じ。それにしても、忙しくてなかなか読みすすめられないなあ。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者: カズオ・イシグロ,土屋政雄 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2…

カズオ・イシグロ/土屋雅雄訳『わたしを離さないで』

周囲を気にかけてばかりいる語り手のキャス、大人になってから何らかの理由で(設定をわかっているからだいたい予想できるけど)ベッドで横になる生活をしているルース、そして幼少時代はいじめの対象になっていた癇癪持ちのトミー。ものすごく精神的に前向…