わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

李食 

catkicker0012005-06-21

  汗ばむわあ、とは山田花子嬢のギャグだが、わが家の花子様は汗ばむ前に涼しげな場所を探してくつろぐ才に長けている。近ごろのお気に入りは玄関のタイルの上のようだ。クッションフロアよりは冷えるだろう。もっとも、ここでおとなしくしくれている時間はかなり短い。ぼくが起きだせば、こっちへ来いとしきりに呼ぶ。行ってあげても騒ぐときはある。振り回されているうちに、ぼくのほうが汗ばんでくる。
 
 六時、起床。くもったり晴れたり。七時、事務所へ。L社ウェブサイトの資料読み込みを黙々と。
 
 十六時、五反田のL社編集室――先に挙げたL社とは別の会社――へ。E社広告媒体企画の打ち合わせ。ご指示に納得できず何度もしつこく、本当にそれでいいのかと確認してしまった。ガンコと思われたかもしれない。
 帰りの車内で愛用のPDApalmOne社の「Tungsten C」に打ち合わせ内容を記録していると、隣に座ったちょいとアタマの薄い四十代の男性が、鞄をもぞもぞとやっている。半そでワイシャツにネクタイ、これはクールビズとは呼ばないか。だが涼しげではある。アタマも涼しげだ。だが彼の風貌はどうでもいい。問題は彼が鞄から取りだしたアイテム。ブルーのPDAである。空の色よりは、真夜中の海の色に近いか。ぼくのTungsten Cより軽そうだ。よくよく見れば、おなじpalmOne社の製品ではないか。おそらくZire 72だ。100万画素だったか、わりに高解像なカメラ内蔵で、MP3再生機能もあるエンタメ系のマシン。Tungstenを買うとき、ちょっとだけ迷ったモデルである。男性、おそらくぼくがTungstenを使っているのに気づいたのだろう。Zireを取りだし使いだした瞬間、ちらりとこちらを横目で見た。ぼくは思わず「おおっ」と声をあげてしまったが、聞えてしまったかどうか。
 
 自宅。やはり購入するか、事務所を移転するか、どちらかになった。物件探しを再開せねば。
 
 二十一時、店じまい。おそくなったので外食かと思ったが、目当ての店が開いていない。夕食難民になりかけるが、生協で牛肉とキムチを購入、結局きちんとつくることにした。プラムも購入。今年ははじめてだ。ちょっと熟しきった感じのものだが、ほんとうはまだ青いくらいの酸っぱいものが好きである。目の奥から眠気を冷まし、脳みそを軽くゆするように刺激してくれるような酸味。あの感覚が好きだ。
 
 多和田葉子「無精卵」。ちょっと内向的な後家さんの苦悩。
 古井由吉『仮往生伝試文』。睡眠と往生。もう一度目が覚めれば睡眠か。繰り返される往生があってもいいのではないか。その都度魂は神仏に近づいてゆくのではないか――と、古井は書いていないがそう思った。もっとも、神仏とは何かがぼくにはわからないし、知っているひとはかなり少ない。