わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

寝坊/願札/対面

すればいい。

 寝坊するのは珍しい。夕べはカミサンと部屋の中の不要物を片づけるのに夢中になりすぎて、目覚し時計をセットし忘れた。三十分ほどよけいに寝た。いや、いつもどおり六時ごろには目が覚めていたのだが、もう少し寝ようという意識がなぜか働いた。身体が求めるなら、素直に従う。生物として至極当然なことが、理性だの習慣だの仕事だの常識だの、煩わしいものばかりもちあわせているためにそれができないでいる。今日はわずらわしさを捨てることができたということか。ならば一日のスタートの出来は上々。
 
 七時三十分、事務所へ。よい朝だったということにしたにせよ、仕事をはじめれば寝坊のツケは当然回ってくる。大慌てで証券会社パンフレットに取りかかる。なんとか間に合いそうだ。
 十三時、麻布十番のO社で筆記具メーカー広告の打ち合わせ。Jさんが最近買ったという万年筆を見せてもらった。ウォーターマンの「リエゾン」だ。エボナイトボディ、硬質なペンタッチ。腱鞘炎もちのぼくには使えなそうなペンだが、なかなかよさそうだ。デザインが美しいから、所有する喜びはいっそう高まる。
 
 二十時、店じまい。
 
 帰りがけに寄った生協に、七夕のお飾りがあった。笹の枝に結ばれた色鮮やかな短冊がエアコンの風に揺れている。多くは子どもが書いたものらしいが、おもしろいものを見つけたので写真を撮った。「家出がしたいなあ」とある。書いた子よ、ひとりで生きていけると確信できるなら、とっとと願いを実現に移せ。君の願いは、誰かが叶えてくれるようなものじゃないぜ。
 
 夕食はゴーヤチャンプルー。腱鞘炎の症状がひどいのでカミサンにまかせたが、カツオブシを忘れていた。この料理、単純なくせに一味でも忘れると妙に間が抜ける。
 
 花子が例によってふにゃんふにゃんとうるさい。うるささがいつもより激しいので、なだめようと猫なで声で「ブラッシングしようかぁ」と声をかけた。大急ぎでこちらにやってくる。ゴロゴロゴロと喉をならしながら身体をブラシにゆだねる。そこで、尻のあたりに黒いものを見かけた。もしや、と思い、尻のあたりの体毛をかき分けてみる。案の定、ウンコだった。ティッシュで掴み、まわりの毛ごと千切るようにして取った。少々怒り気味だが、大したことはない。取られた瞬間に「シャー」と言った程度だ。
 驚くほど怒らなくなった。もう大丈夫、そろそろ同居の用意をしようと、今日は麦次郎と衝立越しに四、五分ほどだが対面させた。ふたりともまるで怒らない。
 
 多和田葉子『ゴットハルト鉄道』。縛られちゃったよ、ありゃりゃ。
 古井由吉『仮往生伝試文』。穴の中にいたのかぁ。