わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

一文

 朝日が昇るのと花子がお腹空いたと鳴くの、どちらが早いのかよくわからないが、おそらく五時ごろか、ニャンニャンと激しく催促されたので要望通りのことをしてあげ、おまけに小一時間ほど添い寝してから六時に改めて起床し、風呂で水を浴びて寝汗を流し、気分爽快で事務所に向かうが朝七時でも梅雨明けの朝陽は暑く厳しく、流れる汗をどうすることもできず、事務所に着くやいなやシャツを脱いで下着とズボンだけになり、アチイアチイとつまらぬ独り言をくりかえしながら掃除を済ませ、カラオケボックスのキャンペーン企画や証券会社のパンフレットなどをテキパキと済ませ、十一時には九段下のJ社へ向かうが、靖国神社の杜からは蝉の声がかすかながら聞え、あと何日経てばこれが蝉時雨になるのだろうか、などと考え、打ち合わせ中はアタマ中で蝉時雨が反響しつづけているようだったが、仕事に支障はないのでそのままにし、十三時まで二時間、蝉のことは口にせずに打ち合わせをつづけ、終り次第もう一度蝉の声を聞きながら駅へと戻り、表参道へと地下鉄で移動し、ひさびさに骨董通りにならぶ有名ブランドの直営店の前を歩いてU社に伺い、小一時間かけて売り込みをしてから、反応が今ひとつわからなかったかな、こっちのプレゼンもよくなかったのか、などと生意気にも反省しながら事務所へ戻り、大慌てで「サンジェルマン」のパンにかじりついて遅い昼食を摂り、少し休んでから住宅メーカーのパンフやら不動産のチラシやら証券会社のパンフやらをすこしやってはこっち、切りがいいところであっち、とバラバラにこなしているうちに陽が暮れ、すると一日中移動していたせいか妙な疲れを感じて、どんどん集中力と注意力がなくなり、でも文章だけはふしぎと書けてしまい、結局「疲れているから残りは明日」の決断をいつまでたってもすることができず、二十一時ごろまで会社にいつづけてしまったワーカーホリックな自分が悲しい。
 
 金井美恵子『タマや』を読みはじめる。
 高橋源一郎『ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ』。またAVかあ…。

 

金井美恵子『タマや』
タマや (河出文庫)