わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

富士

 六時十分起床。十分ほど寝坊したが特に慌てず十分だけ遅く家を出たらいつもより駅に向かうひとは多くなるかと思ってたら、もう盆休み、みなぎゅうぎゅう詰めの新幹線の中で細くうめき声をあげながら数時間の真夏のおしくらまんじゅう大会をしたり高速道路の渋滞でおしっこ我慢選手権をしているようで、人影はまばらというほどでもないが、どことなく寂しい。
 
 住宅メーカーパンフレット、某ビルのポスターなど。
 十三時、例のスヌーピーの件でL社のTさんと打ち合わせ。お茶の水の大学密集地帯は案外緑が多く、したがって蝉時雨が富士ロックくらい熱い。圧倒されながら中央線から丸ノ内線に乗り換え、茗荷谷で降りたら小石川の桜並木も富士ロックフェスティバルだった。桜の葉が早くも秋の色に染まりかけている。気の早い葉はもうからからに干からびて黄葉し、はらはらと宙を待っている。そういえばもう立秋がすぎて四、五日経つ。秋とはまず植物の梢にやってくるのかもしれない、などと考えてみても、蝉のやっかましい不協和音の大合唱に、思考はたちまち乱されてしまう。
 
 夕方からは仕事がかなり落ち着いたので、事務所移転の準備をはじめた。まずは蔵書の梱包からだ。

 二十一時、店じまい。「力車」の焼き肉で暑気払い。大根サラダを頼んだら、明太子ドレッシングなのに驚いた。食べてみると、大根の細切りにまぎれてタクアンが大量にはいっていたのでまた驚いた。

 夜から激しい雷雨。落雷の音と光に花子たちがおびえると、それがきっかけでまた不仲になるかもしれない、と用心して、今日のご対面はお休みにした。
 
 野坂昭如『東京小説』を読みはじめる。東京の空虚さ、あるいは空虚さに紛れる悲痛な叫びを、冗舌過ぎるほど冗舌に語ろうとする試み、といっていいかな。

 奥泉光「石の来歴」。弟も死んじゃった。