わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

工面

 八時起床。起きる時間は遅くなっているものの、やれ片づけだ荷物の梱包だ開封だ家具や机の配列だ不用品の処理だ掃除だと肉体労働がつづいているせいか、疲労はたまる一方だ。だがここで手を休めたら自宅兼事務所が自宅兼ゴミ屋敷になってしまう。集中して作業をつづけ、夜にはようやく書斎が事務所らしくなった。だが、以前の事務所とは似ても似つかない。おそらく空間の密度が濃いからだ。百合の花の香りも、一輪二輪ならかぐわしいが、花束になると辟易する。それとおなじなのかもしれない。
 
 荷物はなんとか納まるだろう、問題はとくにないはずだと読んでいたものの、いざ運び込んでみると自分の考えの甘さに呆れてしまうほどあれやこれやと問題が起こる。書籍が本棚に納まりきれない。コミックや読み返すことはないと思った小説の類いはクローゼットの奥に封印してしまったが、それでも事務所にあったコピーライティングの指南書や名作集、デザイン見本集、マーケティング指南書、ビジネス書、辞書、そしてこれまでに手掛けた作品などを置くには足りなすぎた。パズルのように空間を工面しなんとか押し込むことができたが、作業を終えてから本棚を眺めてみると、コピーライターやプランナーとしての資料よりも小説や評論、思想書のほうが圧倒的に多いのがおかしい。
 
 花子、終日落ち着かない様子。麦次郎は午後からずっと和室のタンスの上で寝ていた。

 夕食は疲労回復をねらってステーキに。ただし特価のオージービーフ。引越はなにかと出費がかさむ。節約せねば。

 阿部和重グランド・フィナーレ」。別れた妻の実家で開かれた娘の誕生日パーティ。DVの濡れ衣を着せられた元夫の主人公は、そこに顔を出すことができない――と書くと昼の連ドラ的であるが、その元夫が幼児性愛の性癖をもつ、となるとたちまち単館上映の映画になる。