わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

すらり

 七時起床。昨日ほど寒さは厳しくない。ベランダから見上げた空の表情が、霞みがちでにごりがちだった昨日と比べると、まるで違う。すらりとした女性が柔和な表情のままで力まず身軽に立ち上がるような、引き締まっているのに鋭さが感じられないような、そんな表情の空。
 午前中はいろんな案件をゴチャゴチャと。某社の件、電話で打ち合わせ。クライアントとのあいだに入っていただいている某会社の担当の方が、ぼくの意図をなかなかわかってもらえず、少々悲しくなる。だが、最後には了承してもらえたのでヨシとした。こちらの説明がまずかったという非も多少はある。
 十三時三十分、霞が関の某IT企業でパンフレットのプレゼン。終了後、デザイナーのP氏と十五分ほど打ち合わせ。外務省横のイチョウ並木がすっかり黄色く染まっているのに気づく。道は遠めには黄色いじゅうたんを布いたように見えるが、そばによればそれはイチョウの葉で、しかもかなり痛み、すりきれているのがわかる。落ちた葉は、このあたりを根城にするビジネスマンや公務員たちに踏まれ、アスファルトのざらついた路面に押し付けられ、すりつぶれる。その上に、さらに枯れ葉が舞い落ちる。すりつぶれた枯れ葉に、きれいな枯れ葉が重なってゆく。その上を、ぼくも歩いた。なんとなく、足取りが乱れる。枯れ葉に遠慮してしまうのだろうか。
 十五時三十分、銀座へ移動。次の打ち合わせまでのあいだ、「Afternoon Tea」でウバ(紅茶です)をすすり、スコーンをかじりながら仕事。二十代くらいの娘とその母、ふたり連れが多くて驚く。
 十七時、代理店U社で某公共の雑誌広告の打ち合わせ。十九時三十分、終了。丸ノ内線でのんびり荻窪まで眠った。
 
 遠藤周作『海と毒薬』。戦中の医療事情が手に取るようにわかる描写。リアルさは悲劇につながりやすい、ということか。