七時起床。近ごろ、朝に白い雲を見るとなぜか心が躍り出す。澄んだ空が高く広く広がる、そこに吸い込まれるような感覚が好きなのだが、その絵の中にひとつの異物があるのがおもしろく見えて仕方がない。ただの異物としての雲ではなく、純真無垢の象徴としての雲が、ぽかりと、少々間抜けに、柔和でありながらも強烈な存在感で浮かんでいるのが、うれしい。子どもの頃、近所に住んでいたTちゃんの伯父、雲の上に寝ころんでタバコを一服したとか、そんなホラ話ばかりをガキどもに吹き込んではおもしろがっているほら吹きオッサンだったのだが、ここ何日か白い雲を見るたび、そのオッサンを思い出しては苦笑している。
午前中はITベンダーのPR誌、カタログなど。自分の役割が明確になっている仕事は取り組んでいて楽しい。もちろん、その役割は言葉をつづり、商品や企業、ブランドの魅力を伝えることだ。ついでにデザインのディレクションまでまかされたり、プランニングの部分だけを求められたりするのが、実は案外キビシイ。精神的に追いつめられやすい。無意識のうちに苦手意識が働いているのだと思うが、なぜかぼくのそういった部分ばかりを評価するクライアントが多いことは確かだ。ありがたいかぎりだが、思いは複雑である。
十四時、麻布十番のO社で打ち合わせ。終了後、カイロプラクティック。
十八時、帰社/帰宅。電話、ファクス、メールが山盛りになっていて驚く。返事をするだけで、二時間も経ってしまった。
夜、「オーラの泉」を見る。中島啓江。どこかに重たいものを隠し持っているひとだと思っていたら、ほんとにそうだった。
遠藤周作『海と毒薬』。若妻の手術に失敗してしまった「おやじ」。若妻は死亡するが、手術の過失であることは家族には伏せられてしまう。欲が人生の歯車を狂わせてゆく。