わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

佐川光晴「子どもにつづけ」

「群像」9月号から。ラスト1ページまでは「なんだこのグダグダなエッセイは。共感できなくはないけど、それまでだな。こりゃ小説じゃない。身のうちをつづったただのエッセイだ。もちろん私小説なんかでもない!」と思っていた。仮に内容すべてが想像の産物だったとしても、本気でそう思いながら、すなわち耐えながら読んだ。しかし、なんだこのラストは。電車の中で、目の前にある女性の腕を思いきり噛みたい衝動に駆られる主人公の、心の中の叫び。ただこれだけで、退屈なエッセイが立派な小説になってしまった。こんな展開方法もあるんだなあ。