結局「熊の敷石」というのは、おせっかいは迷惑だよ、という意味のフランスのことわざらしい。主人公はユダヤ系フランス人の友人・ヤンとの関係に「熊の敷石」的側面を見出し、自己内省の無限ループにはまりそうになる。が、タルト・タタンを食べたときの虫歯の痛みが現実に引き戻してくれる。
友情のありかたについてを作者は書きたかったのだと思うが、この俗っぽくなりがちなテーマを、まあよくもここまで高尚にしちまったもんだ。おもしろかったけど、読後感は排便後に拭ききれていないお尻のよう。物語としても破綻している。そこが魅力ではあるのだが。
- 作者: 堀江敏幸
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/02/13
- メディア: 文庫
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