わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

堀江敏幸「熊の敷石」読了

 結局「熊の敷石」というのは、おせっかいは迷惑だよ、という意味のフランスのことわざらしい。主人公はユダヤ系フランス人の友人・ヤンとの関係に「熊の敷石」的側面を見出し、自己内省の無限ループにはまりそうになる。が、タルト・タタンを食べたときの虫歯の痛みが現実に引き戻してくれる。
 友情のありかたについてを作者は書きたかったのだと思うが、この俗っぽくなりがちなテーマを、まあよくもここまで高尚にしちまったもんだ。おもしろかったけど、読後感は排便後に拭ききれていないお尻のよう。物語としても破綻している。そこが魅力ではあるのだが。

熊の敷石 (講談社文庫)

熊の敷石 (講談社文庫)