2007-07-24 古井由吉『槿』 読書日記 萱島の口から語られる、疑惑の夜の記憶。それがはっきりすればするほど、杉尾と萱島の関係がどんどん曖昧に、しかしどこか、おかしな部分だけが妙に強くなっていく。 記憶を語る萱島の描写、女らしいしぐさというものを強く感じさせる一方で、妙な空虚さにも満ちている。