2007-09-18 松浦寿輝『川の光』 読書日記 環境、政治形態、暴力、家族の連帯……とテーマが複合的に重なり合っていく。そして、ダメ押しのようにそれらに「コトバ」というテーマが加わる。コトバというよりは、コトバのもつチカラ、というべきか。 いずれにせよ、すべてのテーマが読んでいるぼくには「答えの見えているもの」に思えてしまう。児童文学的な内容にしているから意図的なのかもしれないが。 よい作品は、よい問い掛けをもっている。それは文学でも絵画でも音楽でもおなじ。仙崖の絵など、気張らず描いているというのに、問いに満ちているではないか。