わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

国立新美術館「フェルメール『牛乳を注ぐ女』とオランダ風俗画展」

 一度は現物を観ておきたいと思っている作品のなかに、フェルメールの「青いターバンの女」がある。今回は残念ながらこの作品の出品はなかったが、同じく代表作である「牛乳を注ぐ女」が展示されている。日本での公開は最初で最後かも、などと言われているが、どうなんだろう。あの印象的な青はラピスラズリを使っているとのこと。当時は金と同じくらい高価な鉱物だったらしい。また、遠近法を巧みに利用しつつも、それをブチ壊すことで対象=女性の存在感を強めるなどの技巧も学ぶことができた。やはり名画と呼ばれるものはどこかが違う。価値の破壊と創造がひとつの作品に共生(!)している。

 オランダ風俗画のほうは、ふーん、という感じ。当時の生活がわかる資料的価値としてしか観ることができかなった。ドウブツがこっそり描き込まれている作品が多く、そこにばかり目が言ってしまった。たとえば酔っぱらって醜態をさらす女性をじっと見ている猫とか。例外はニコラース・デル・ヴァーイの「アムステルダムの孤児院の少女」。印象派にも通じるまばゆい光の表現が、少女の悲しさと希望、そして気高さを際立たせている。光を受けて輝く白いターバンやエプロン(?)と、影になじむように伸びる赤いスカートの色彩の対比も印象的。