わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

星野智幸『目覚めよと人魚は歌う』

 愛する人に先立たれたものの心に傷を負ったまま妄想の中?の彼を愛しつづける三十代の女、その彼が女とのあいだに残した思春期独特のもやっとした感情と行動を取りつづける少年、疑似家族に憧れを抱く図書館勤務の平凡な初老?の男、暴走族をブチ殺してしまった日系ペルー人の少年、その少年を愛しかばいつづける日本人の二十代?の女、が、一つ屋根の下で暮しはじめる。これがおもくならないわけがない。
 まだ、タイトルの意味はさっぱりわからず。書き出しで、女は人魚のように描かれているが、その傾向は最初の一章ですぐに消えた。
 多人称多元描写というのが、ちょっと読みづらい。ときおり、意識的に人称を混乱させる書き方をしているが、作為が見えない。なんでだろ。

目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)

目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)