わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

番外編・「Poetry Voice Circuit」第185回・伊藤比呂美

 朗読会。広く考えればこれも読書なので、「読書日記」の番外編として。
 我らが比呂美ねーさんが、40名ほどの聴衆を前に、フリートークを交えつつ、朔太郎賞受賞作『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』の他、近作『河原荒草』、『のろとさにわ』などから一時間ほど朗読。詩人の肉声による朗読は、ぼくらの黙読による鑑賞よりもはるかにエネルギッシュ。言葉とは音声による伝達が基本なのだと再認識できる貴重な体験でした。同じ空間に、詩を読む者と聞く者が同居する。肉声が、その空間に響く。響きながら、凝縮していく。凝縮し、そして拡散する。流れる。加速しながら流れる。それを意識的に止め、爆発させる。その衝撃もまた言葉……この価値は、理屈じゃとても語れない。
 『とげ抜き』は詩か小説かという議論が盛り上がっているらしいが、ねーさん、ご自分で小説と詩の違いについて、そして『とげ抜き』は一体どちらなのかについて、丁寧かつユーモラスかつ自虐的かつエロティックに語ってくれた。その答えは、もちろん「詩」。ただし、現代詩ではない。それは読者であるぼくも強く感じていたことなので、ああやっぱりそう言うかフフフ、とニヤけてしまった。
 朗読会は、聞き手より読み手の方がエネルギーを激しく消費すると思う。ねーさん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。次にお会いできる機会があれば、漫画論をぜひぜひお聞きしたいですね。それから、それまでにもーちょっと詩のお勉強をしておきたいかな、と。これまで比呂美ねーさんを始めとする一部の現代詩人以外にはたいして関心を寄せず、基本的には小説志向だったからなあオレの文学趣味は。天童さんに「詩を書きなさい」と勧められちゃって気分が高揚している、っていうのもあるけどニョホホ。

河原荒草

河原荒草

伊藤比呂美詩集 (現代詩文庫)

伊藤比呂美詩集 (現代詩文庫)

青梅 (集英社文庫)

青梅 (集英社文庫)

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起