わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

松浦寿輝『もののたはむれ』

「一つ二つ」。タイトルがいい。内容は典型的な幽霊話なのだが、同性愛的なエロティシズムと霊的世界の不可解さを受容する態度、そして(霊なのに)肉感たっぷりの描写と、変化球が目白押し。
「鬱々と」。なんだか私小説的(と書くと批判的に読んでいるように聞こえるかもしれぬが)。松浦には珍しく、ストレートな「思い」の描写があって意外。在日朝鮮人の焼き肉屋のオヤジと主人公の、皮肉たっぷりな会話の計画的な泥臭さに感服。
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