わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

リービ英雄「仮の水」

 「群像」四月号掲載。リービ作品、文体の息づかいというか皮膚感覚というか、そういった理屈を越えた生理的感覚に訴える部分が自分の生来持つものとずれているようで、そのすれが気持ち悪くて仕方なく、読みすすめるのが次第にしんどくなってしまい読了できず投げ出すことになる、という悪夢のような読書体験ばかり提供してくれる、ぼくにとっては鬼門のような作家なのだが、発表する作品のクオリティの高さとテーマの深遠さにはいつも舌を巻いている。読了してないのによく言うよ、って感じだが。
 先月、一度読みかけて断念したのだが、再チャレンジを決意した。というのも、今月の「群像」の合評に本作が取り上げられ、平田俊子佐伯一麦らがかなり好意的に評価していたからだ。「群像」の合評と言えばボロクソに突っつかれる、というイメージをもっていたのだが、そうならなかった本作はひょっとして傑作なのではないか、と思った次第。