わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

星野智幸『植物診断室』読了

 幹子と寛樹が復縁するところで物語は終わる。新しい家族のかたち。離散する家族を再度結びつけるには、幹子親子に対する寛樹のような、外部の存在が必要なのかもしれない。
 植物診断、スギノコ、寛樹のマンションのベランダのジャングル。どうして植物なのか、が今ひとつ読み切れていない。植物のような家族関係? 本作における幹子と寛樹の関係は、植物的とは言い難いが。
 うーん、おもしろかったのだが、すっきりしない読後感。それがストーリーによるものではなく、設定というかモチーフというか技巧というか、そういった部分への理解不足に由来しているというのがまた、すっきりしなくて……。そういう読み方をすべきじゃないのかな。

植物診断室

植物診断室