「陽気な夜まわり」。眠りの考察を枕に、大学時代の友人の幽霊体験(ドッペルゲンガー体験といったほうが正確か?)へ。80年代の作品だが、すでに文体は現在の古井に限りなく近く、おまけに内容も、あの世とこの世の境界線をうろつくような、ここ数年の古井作品の特徴と通じるところがあるようで驚いた。
「夜はいま」。これも80年代の作品なのだが、なんと「リストラ」を扱っている。もっとも、リストラなどという言葉はまだない時代だが。会社勤めに潜む狂気。その狂気を感じること自体が、実は正常な精神であることの証明なのではないか、という逆説。なのかな。
- 作者: 古井由吉,大杉重男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/02/10
- メディア: 文庫
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