わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉『古井由吉自選短篇集 木犀の日』

「夜はいま」。ありゃま夢オチですか。
「眉雨」。まださっぱりテーマが見えてこないのだけれど、書き出しが印象的だったので引用。これを、物語のなかでどう活かそうというのか。

 この夜、凶なきか。日の暮れに鳥の叫ぶ、数声殷きあり。深更に魘さるるか。あやふきことあるか。
 独り言がほのかにも韻文がかった日には、それこそ用心したほうがよい。降り降った世でも、あれは呪や縛やの方面を含むものらしい。相手は尋常の者と限らぬとか。そんな物にあずかる了見もない徒だろうと、仮にも呪文めいたものを口に唱えれば、応答はなくても、身が身から離れる。人は言葉から暫時、狂う恐れはある。