わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

浦沢直樹『MONSTER』

 実は今まで未読なのであった。浦沢ファンなのに、なぜか。それは、連載時に途中の状態で一話だけ読み、まったくわけがわからなかったから。いつかきちんと読もうと思っていたのだが、思っているだけで一体何年過ぎたことか。
 6巻まで読んだ。最大の謎が一向に解明されないというのは当然として、「20世紀少年」みたいに細かい謎が多かったり、伏線がやたら長くひっぱられることなんかも比較的少ないので、まあ安心して、というか極端なイラツキを感じずに読める。謎が謎を呼ぶ、というよりは、謎を解明しようとしたら結果的に別のトラブルに巻き込まれ、でもそれがちゃんと本編につながっていて、解決することによって次の進展への道が開ける、という感じ。ありゃ、これって「ドラクエ」とかのRPGの手法と似ているような……。
 浦沢って基本は止まり絵だけど、ときどきスゴイ勢いで動いているように見えるんだよなあ。これは画力だけじゃなく、おそらく作品の構成・構築の技術が影響しているではないか。止まり絵での悲しい表情のシーンから緊迫の場面、そして怒りや使命感をともなったアクションシーンへのテンポのいい展開。止まりきった後だから、よく動いて見える。

Monster (6) (ビッグコミックス)

Monster (6) (ビッグコミックス)