わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

世捨て

 望みなどせぬのに、世捨て人になっている。などと書くと出来の悪いB級映画か青臭い私小説のように思えるが、今日はそんな思いを捨てることがどうしてもできない。五時五十分に目覚め、身支度し、ドウブツの世話をし、仕事をはじめ、掃除をし、ふたたび仕事をはじめ、事務処理のために銀行に行き、戻って飯を食い、みたび仕事をはじめ、煮詰まり、陽が落ちて夜となり、飯を食い、風呂に浸かり、そしてこうして日記を書きはじめるまで、まともに接したニンゲンはカミサンだけ、電子メールは仕事の連絡がわずか一通でほかはすべてがメルマガかDM、数本なった電話はすべて勧誘、というありさまだ。案件が重なりとにかく作業を進めなければならぬ状況で他人からのちゃかしやら横やりやらせかしやらが一切ないのはうれしい限りだが、これはこれで、息が詰まる。首が短くなったような気分になる。気づけば、誰かから電話でも来るか、とこまめに受話器へと視線をやり、呼び出し音はいつ鳴るかと、さりげなく耳を澄ませている。呼び鈴ではなく、雨音が聞こえはじめた。東京は、今日梅雨入りしたらしい。