「群像」10月号掲載。自分のろくでなしっぷり(そうでもないように読めるのだが)に、以前飼っていた馬鹿犬の面影を重ね合わせ、死んでしまった隣家の犬に、その馬鹿犬の面影を重ね合わせる。その経緯に、近い家族の老いや死がさらに挟まってゆく。
不思議なのだが、読めば読むほど、死という事象に対するわりきり、開き直り、そんなものが感じられてしまう。それは主人公がアンバランスな自虐性、自己批判性を持っているからだろうか。自虐的なニンゲンは、自分の死に対しては驚くほどドライになれる。
- 作者: 飯田章
- 出版社/メーカー: 草場書房
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
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