刺々しいのになぜか全体的に軟体動物のよう。自己主張が激しそうなのに、なぜか社会状況に埋没する。反抗心でいっぱいなのに、気づけば他の何者かに共感している。突っ走りたいのに、停滞している。そんな、不安定な少年少女たちを描いた傑作。タイトルの「球形」は、丸くてとらえどころのないもの、そして日の丸を意味しているのだろう。「キュウケイ」という音は「休憩」にもつながっている。
多和田葉子にしてはめずらしく、ラストにストレートな社会批判が展開されている。こういうの、嫌いじゃない。
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