「人間の屑」読了。これ、屑なヤツの批判ではなく、屑が生まれやすい社会構造への批判と、屑でも生き抜くことはできる、むしろ屑らしく生をまっとうして死んでみろ、そうすれば屑は屑でなくなる、最後に全部チャラになる、どうだチャラにしてみろってんだ、という挑発的提言が込められているのではないか。
解説で筒井康隆さんがおもしろいことを書いていたので引用。
狂気から遠く離れた場所にいて、狂気に憧れ、狂気を描き、しかしながら現実の狂気を嫌悪する。いい加減さから遠く離れた性格でありながら、いい加減さに憧れ、いい加減さを魅力的に描き、しかし現実のいい加減な人間は断固として許さない。これはわしが今まで、常識があるからこそ、どこからが非常識であるかが判断でき、だからこそ非常識が描けるのだと言いつづけてきたことに呼応している。むろんこれらこそは、まさに第一級の文学者の資質なのである。
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