なぜかプールに出かける優奈。そこで優奈は、大切にしているのかどうかはよくわからぬが、常に携帯しているらしいレネからもらった仏独辞典を盗まれてしまう。
優奈がレネの義兄モーリスの家に行って休暇を過ごす、というストーリーを柱に、いろんなエピソードが、万華鏡のようにちりばめられた作品。だから各章の小見出しがすべて、漢字一文字の鏡文字になっているのかもしれない。ただし、エピソードはいずれもほんものの万華鏡のようにきらきらと輝いたりはしない。くすみ、よどみ、鈍く重たくひずみながら、記憶をただひたすらに、かき回してゆく。
- 作者: 多和田葉子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/03/04
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (37件) を見る