わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

保坂和志『猫に時間の流れる』読了

「キャットナップ」読了。ニンゲンと猫、社会構造に組み込まれていながら志向すればいくらでもアウトローにはなれる存在であるニンゲン(と書いているうちに、そりゃ違うな、と思いはじめているのだけれど)と、アウトローに生きていながらも実はニンゲンという存在に依存しなければ生きていけない猫という存在の対比を、どちらがいいとかそういうレベルの問題ではなく、ただ単に対比するためだけに(それが重要なのだが。作者は答えを出す必要はない。答えは読むことを通じて思索の迷路に迷いこみはじめているはずの読者が出すべきなのだ)この小説を描いているように思えた。
 わずか十数年前に書かれた作品だというのに、すでに現代性を失いかけているので驚いた。作品内容より、このことに気を取られてしまった。それじゃだめじゃん(春風亭昇太風に)。

猫に時間の流れる (中公文庫)

猫に時間の流れる (中公文庫)

猫に時間の流れる (新潮文庫)

猫に時間の流れる (新潮文庫)

明け方の猫 (中公文庫)

明け方の猫 (中公文庫)

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

季節の記憶 (中公文庫)

季節の記憶 (中公文庫)

もうひとつの季節 (中公文庫)

もうひとつの季節 (中公文庫)