吉田戦車「伝染るんです。」(1)(2) - わたしが猫に蹴っとばされる理由

　今週の「TVブロス」で特集されているのをカミサンが見て懐かしんで、思わず図書館で借りてきた。読み返すのは十数年ぶり。やりたい放題のギャグは何年経っても色あせていない。
　吉田戦車の登場は強烈に覚えている。高校生の頃、所属していた陸上部の部室にものすごくスケベだったOくんが持ち込んでいたエロ本にまだメジャーになる前の吉田戦車の作品が載っていて、こりゃスゲエ、設定もストーリーも何もかもめちゃくちゃなのにしっかり構成されていておもしろい、と思っていたのだが、大学生時代に「ビッグコミックスピリッツ」で名作「コージ苑」が終了し、この後に連載するヤツはすごいプレッシャーだろうなあ、と友だち同士で話していたら、吉田戦車が大抜擢されていたのでブッタまげてしまった反面、ものすごーく納得した。エロ本時代のテイストをさらにメチャクチャにした四コマは意外にも多くの人に受け入れられ、一時代築いてしまったのだからスゴイ。
　四コマ漫画はいがらしみきおの『ネ暗トピア』の登場で新しいスタイルが生まれ新時代に突入したと個人的には思っている（そのいがらしの最高傑作が『BUGがでる』。歴史的な傑作だと思うのに、『ぼのぼの』ばかりがフィーチャーされてしまい、ちょっと納得がいかない。たしかに『ぼのぼの』も傑作なのだが）。それが、相原コージの「コージ苑」で拡大変質して市民権を獲得し、吉田戦車の登場によって、またさらに新しい時代に突入した。いがらしみきおはかつてのような四コマを描かなくなり（といっても最近の作品はよく知らないのだけれど。違ってたらスミマセン）、相原コージは「コージ苑」のラストで完全に息切れしていたが、吉田戦車はいまだにおなじ方向性を貫きつづけているのだからこれまたスゴイ。