「黒い布」。歪んだ親子関係が描かれている。フツー、親子をテーマにした場合は親の視点から暴走する子を描き「理解できん」と嘆くことが多いと思うが、本作の場合は親の視点から、ぐれていたはずなのにまっとうに生きはじめた息子の様子をて否定したいと渇望する父親の歪んだ感情と思考が描かれている。そんなものの上に成り立つ親子関係だから、とにかく虚しい。どんなふうにストーリーが展開しても、虚しさばかりが募る。息子の愛情を父親は吸収することがない。ただただ、あらゆる感情が空回りしている。
- 作者: 色川武大,平岡篤頼
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/05/10
- メディア: 文庫
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