わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

福井晴敏『機動戦士ガンダムUC(10)』読了

 あとちょっとで読了しました。主人公バナージはついにラプラスの箱の秘密を知り、フル・フロンタルとの因縁に決着をつける。そしてオードリー・バーンことミネバ・ザビが箱の内容を全世界に公開しようとしたところで、コロニーレーザーグリプス2」が…。
 自己犠牲からは未来など生まれない。犠牲になることを覚悟するものは、同時に希望も抱かなければいけない。バナージの最後の闘いには、そんなメッセージが込められている。うーん、とてもスピリチュアル的。賢治の「グスコーブドリの伝記」のブドリや「銀河鉄道の夜」のカムパネルラは自己を犠牲にすることでより大きな存在に未来を与えることができた。この行為にわれわれ読者は尊さを見出し感動するわけだが、うがった見方をすれば、その後の事態への関与、言い換えれば責任を彼らは放棄したとも言えなくはないわけである。スピリチュアルな世界では、何よりもまず自分を大切にし、自分の存在こそ尊いのだと知ることが、他者の力になるための第一歩だと説かれることが多い。バナージの行為はまさにこの考えにずっぽしと当てはまるんじゃないかな。
 可能性の獣は、決して不死ではない。いや、不死かもしれないが、不死であることを受け入れた瞬間、可能性は可能性でなくなってしまう。ならば不死とはなんなのか。「悟り」という言葉に置き換えて考えてみてもよさそうだ…そんなことを考えながら、読み終えた。

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MG 1/100 RX-0 ユニコーンガンダム Ver.Ka (機動戦士ガンダムUC)

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HGUC 1/144 RX-0 ユニコーンガンダム デストロイモード (機動戦士ガンダムUC)

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